1993 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア呼吸系の複合体III及び複合体Iの結晶化とX線結晶解析
Project/Area Number |
03454565
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉川 信也 姫路工業大学, 理学部, 教授 (40068119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
月原 富武 徳島大学, 工学部, 教授 (00032277)
伊藤 恭子 姫路工業大学, 理学部, 助手 (70206316)
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Keywords | NADH-ユビキノン還元酵素 / ユビキノール・チトクロムC還元酵素 / 膜タンパク質 / 呼吸鎖電子伝達系 / タンパク質結晶化 / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
複合体IIIの結晶化を目指してまず、精製法を再検討した。チトクロム酸化酵素の経験にもとづいて、界面活性剤による可溶化の後は塩析法によって純化するHatefiやRieskeの方法の改良を試みた。その結果2日で約0.6グラムの精製標品が得られるようになった。さらに最終標品に含まれているコール酸を非イオン性界面活性剤であるドデシルシュークロースに完全に置き換えた。これによって標品の安定性は格段に高まった。Tris-HCl緩衝液中で固形のポリエチレングリコールを沈澱剤として結晶化したところ、単斜晶系の結晶が得られた。これは7.5Å分解能のX線回折像を示したが、非常に物理的衝撃に敏感で、かつ双晶になりやすく、x線結晶解析は容易でないことが判明した。そこで、他の結晶系の結晶を求めて、まずこの結晶の結晶化条件に及ぼす要因を検討した。緩衝液をリン酸カリウムに変換すると、分解能6.5Åのx線回折を示す六方晶系の結晶が得られた。この結晶の成長はリン酸濃度の非常に敏感で、50mM付近で2-3mMの濃度の違いで、結晶の質と大きさが大きく影響された。また最適濃度は標品のロットにより10mM程度変化した。この再現性を高めるため、結晶化によって精製した標品を結晶化したところ、正方晶が得られたが、再現性も結晶の完全性も目立って向上しなかった。一方、亜鉛イオン存在下では六方晶の完全性は同様であるが、結晶成長の再現性は著しく向上した。 複合体I(NADH-ユビキノン還元酵素)の結晶化もまず精製法の検討から開始した。Rieskeの方法を改良して、ウシ心筋1.2Kgから約0.9グラムの精製標品が得られるようになった。この標品の組成も酵素活性もロテノン阻害も文献値とよく一致していた。ハンプトン社のクリスタルスクリーンによってこの標品の結晶化条件を探索したところ、スフェルライトではあるがはっきりと複屈折を示す結晶が得られた。
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