1991 Fiscal Year Annual Research Report
超高倍率光学顕微鏡による神経終末情報伝達の分子機構解析
Project/Area Number |
03454566
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
寺川 進 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (50014246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊倉 鴻之助 上智大学, 理学部, 助教授 (70129790)
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Keywords | 神経終末 / シナプス / エキソサイト-シス / フィロポディア / ビデオマイクロスコピ- / Caイメ-ジング / 膜融合 / 伝達物質 |
Research Abstract |
本研究では、神経終末のエキソサイト-シス反応やフィロポディア急速発芽反応等の活動を、高速画像処理によって強化した光学顕微鏡によって直接捉え、その動的な特性を調べることによって分子機構の解明を目指すものである。人工膜系で膜融合を捉進することが分かっているヘモアグルチンニンペプチドの効果を、単離した分泌顆粒を顕微鏡下に直視して調べたところ、顆粒同士の融合は引き起こさないことがわかった。細胞質内の可溶性蛋白の中に膜融合促進酵素が含まれている可能性があるので、単離顆粒についてCaイオンとMgーATP存在下に細胞抽出液の効果を調べたが、顆粒同士の融合は起きなかった。これらの結果は細胞膜側に融合を引き起こす酵素が存在することを示唆する。神経終末の情報伝達に関する反応はいずれもCaイオンに依存したものであるが、細胞内Caイオン濃度の上昇がどの様に分子機構に転換され上記の反応を引き起こすのかを調べるため、微分干渉像と蛍光像の同時リアルタイム観察法を開発した。ダイクロイックミラ-とイメ-ジインテンシファイア-付きのCCDカメラ(ICCD)の使用によって、短波長での蛍光像と長波長での微分干渉像が同時に超高倍率で観察可能となった。微分干渉像の観察からエキソサイト-シスをした顆粒の位置、大きさ、数とその分布、及びフィロポディア形成の有無等がわかる。同時に蛍光像の観察から、エンドサイト-シスの有無やフィロポディア内のアクチン線維の有無が決定できる。さらに、蛍光性Ca指示薬を併用して細胞内Ca信号とエキソサイト-シス、また、Ca信号とフィロポディア形成の間の定量的な関係を調べる目度がたった。装置の到着が遅れ、現在実験結果を十分に出すに至っていないが、完全な微分干渉像と蛍光像の分離ができビデオによる同時記録が可能となったので、第2年度計画が半ば達成されたといえる。
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[Publications] Terakawa,S.: "Quantitative analysis of exocytosis directly visualized in living chromaffin cells." Neuroscience Letters. 123. 82-86 (1991)
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[Publications] Segawa,A.: "Exocytosis in living salivary glands:direct visualization by video-enhanced microscopy and confocal laser microscopy." European Journal of Cell Biology. 54. 322-330 (1991)
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[Publications] 寺川 進: "開口分泌の細胞内過程:開口分泌のビデオ顕微鏡による観察" 生体の科学. 42. 251-254 (1991)
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[Publications] 寺川 進: "開口分泌の細胞生物学:エキソサイト-シスの実時間過程のダイナミズム" 細胞. 23. 465-469 (1991)