1991 Fiscal Year Annual Research Report
温度勾配蒸気拡散法による膜蛋白質の結晶化技術の開発
Project/Area Number |
03454567
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
神山 勉 理化学研究所, 生物物理研, 研究員 (30170210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 郁子 理化学研究所, 生物物理研究室, 研究員 (10087405)
井上 頼直 理化学研究所, 太陽光エネルギーグループ, 主任研究員 (70087592)
神谷 信夫 理化学研究所, 結晶学研究室, 研究員 (60152865)
植木 龍夫 理化学研究所, 生物物理研究室, 主任研究員 (30029954)
藤澤 哲郎 理化学研究所, 生物物理研究室, 研究員 (10231565)
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Keywords | 温度勾配蒸気拡散法 / 膜蛋白質 / X線結晶構造解析 / 蛋白質結晶構造解析 / バクテリオロドプシ / 光合成光化学系II / 膜蛋白質の結晶化 / 界面活性剤 |
Research Abstract |
膜蛋白質の3次元結晶を大きくかつ迅速に成長させる技術の確立を目指して、温度勾配蒸気拡散法の開発を行い、その有効性を調べた。具体的には、アルミ板の片端をペルチェ素子を利用した冷却装置で冷やし、他端をホットプレ-トで暖め、温度勾配を維持する装置を試作した。この装置の上に勾白質溶液を展開したチェンバ-スライドを並べ、温度勾配存在下で蛋白質が高温域側で濃縮される過程をビデオカメラで観察した。水溶性蛋白質に関しては、温度勾配蒸気拡散法により迅速な結晶化が可能であることを実証した。この方法を膜蛋白質に適用するにあたり、バクテリオロドプシンの結晶化に及ぼす温度の影響を調ベた。30℃以上の高温で結晶化を行うことにより通常の蒸気拡散法でも0.5mm程度の大きな結晶が得られることが判明した。高温で疎水的相互作用が相対的に支配的になり、結晶化に有利に働いた可能性が考えられる。バクテリオロドプシンの結晶は低温でむしろ不安定になり、界面活性剤存在下での蛋白質の結晶化においては温度の効果が絶大であることが見いだされた。これらの結果は温度勾配蒸気拡散法の有効性を示唆するものである。しかし、高濃度の界面活性剤存在下では溶液の相分離が容易に生じ、膜蛋白質の拡散運動が抑制されるという重大な問題点も明かとなった。界面活性剤濃度を低く保ちながら、膜蛋白質の可溶化および結晶化を遂行するなどの改良を試みたが、完全な解決には至らず、この問題は今後の課題として残った。 バクテリオロドプシンおよび光化学系IIの構造解析に向けての研究に関しては、それぞれ著しに進展があった。特にバクテリオロドプシンの新しいタイプの3次元結晶(六方晶)を得、X線回折像を記録することに成功した。
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[Publications] T.Kobayashi,M.Terauchi,T.Kouyama,M.Yoshizawa,M.Taiji: "Femtosecond Spectroscopy of Acidified and Neutral Bacterioshodopsin." Soc.Photo-Optic.Instr.Engineer. 1403. 407-416 (1991)
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[Publications] J.Shen,Y.Inoue: "Low ph-induced Dissociation of Three Extrinsic Proteins from O_2-Evoluing PhotosystemII" Plant cell Physiol. 32. 453-457 (1991)
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[Publications] J.Shen,T.Ono,Y.Inoue: "The Role of Light in Formation of modified S_2-state upon Low ph-treatment of Oxygen-Evoluing PhotosystemII." Photosynthetic Res.
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[Publications] T.One,M.Kusunoki,T.Matsushita,H.Oyanagi,Y.Inoue: "Structural and Functicnal modifications of Mn Cluster in Ca^<2+>-depleted S_1 and S_2 states:Electron Paramagnetic Resonance and X-ray Absoption Spel troscopy Studies" Biochemistry. 30. 6836-6841 (1991)
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[Publications] T.Ono,Y.Inoue: "A possible Role of Redox Active Histidine in Photoligation of Mn into Photosynthetic O_2-euolving Enzyme" Biochemistry. 30. 6183-6188 (1991)
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[Publications] 神山 勉: "光駆動プロトンポンプ;生体膜における物質輸送についての考察" 日本の科学と技術. 262. 61-65 (1991)