1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03455011
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
安藤 敏夫 金沢大学, 理学部, 助教授 (50184320)
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Keywords | AFM / ピンポイントアプローチ / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
原子間力顕微鏡(AFM)は液中観察が可能なために、生きた生物試料の観察や操作には極めて有効な装置である。しかしながら、従来の装置では盲でスキャンせねばならず、基盤に疎らにそしてランダムに局在するタンパク質やDNAなどの生体高分子を探し当てるまでに試行錯誤を繰り返さなければならない。他方、蛍光顕微鏡では蛍光染色した生体高分子の可視化は容易である。そこで、倒立型蛍光顕微鏡とAFMを一体にしたシステムを平成3年度より開発・製作してきた。平成5年度には最終調整も終わり完成することができた。カンチレバー探針先端と試料を蛍光顕微鏡で同時に観察でき、カンチレバーと試料の位置決めを独立にできるために、探針を観察すべき試料にピンポイントアプローチできるようになった。これにより時間を大幅に短縮できるようになり、また、得られた像が紛れもなく試料のものであることが保証されるようになった。ミオシンフィラメントや筋原繊維のような大きな構造体では透過照明で可視化でき、ピンポイントアプローチが容易であった。これらの試料の他にアクチンフィラメントやHMMのミオシン頭部のAFM像も観察し、極めて鮮明な像が得られた。ミオシンフィラメントの周期構造やミオシンフィラメント先端部にミオシンの頭が規則的に並んでいる様子が観察できるほどの空間分解能が得られた。筋原繊維では、A、I、M、Zの各バンドが鮮明に区別され、Aバンド中の各フィラメントも観察された。さらにはAバンド中の個々のクロスブリッジが粒状に観察された。電子顕微鏡レベルの観察が極めて容易に無処理の試料で、且つ、液中で可能になった。今後の課題としては、タンパク質のダイナミックスが追跡できるほど高速にスキャンできるAFMの開発(探針の開発も含めて)が重要であると思われる。近い将来この問題にも挑戦したい。
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