1991 Fiscal Year Annual Research Report
サンゴ礁における石灰化速度と二酸化炭素変動のモニタリング
Project/Area Number |
03455019
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
大森 保 琉球大学, 理学部, 助教授 (00045022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊佐 英信 琉球大学, 理学部, 助教授 (20045040)
平良 初男 琉球大学, 理学部, 教授 (70044998)
棚原 朗 琉球大学, 理学部, 助手 (00217100)
渡久山 章 琉球大学, 理学部, 助教授 (50045001)
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Keywords | 二酸化炭素 / サンゴ礁 / 光合成 / 石灰化 / 温暖化 / 沖縄 |
Research Abstract |
本科学研究費補助金により、サンプリングユニットを購入できた。これによりサンゴ礁海水中における二酸化炭素濃度を高精度に測定することができる。 現在進行しつつある大気中二酸化炭素濃度の増加現象にたいするサンゴ礁の役割を評価するために、琉球列島のサンゴ礁(瀬底島)およびサンゴ飼育水槽において炭酸塩物質と二酸化炭素分圧の定点観測をおこなった。サンゴ飼育水槽では海流、波浪の地下水の影響を無視できるので生物の活動の効果を選択的に観測できた。 1.サンゴ礁における石灰化の速度 一般に海水中で炭酸塩が生成するときには1molの炭酸カルシウムの生成に対して炭酸アルカリ度は2molが海水から除かれる。しかし、生物による合成成ー呼吸の過程ではこれらは変化しない。これについて、溶存酸素(DO)、全炭酸(DIC)およびアルカリ度(CA)を指標にして検討した。その結果、夜間と昼間でこれら成分の変化の割合が異なっている。サンゴ飼育水槽中で測定された炭酸アルカリ度の減少速度から求めた炭酸カルシウムの生成速度は11月で7μmol/hour/lであった。 2.サンゴ礁における炭酸塩物質の日変化と季節変化 サンゴ飼育水槽では昼夜による炭酸物質の変動が周期的に観測された。これは水槽中の生物(主にサンゴと共生する褐虫藻)による光合成ー呼吸の割合とサンゴによる石灰化速度が昼と夜で大きく異なることによるものである。 3.サンゴ礁海水中の二酸化炭素濃度 生物の活動に対応して二酸化炭素濃度は昼低く、夜に高い値を示し時間変動を繰り返した。また夏には高く冬に低いという顕著な季節変動を示した。即ち、二酸化炭素は夏には海水から大気へ、冬には大気から海水へ輸送されることがわかった。二酸化炭素の輸送量を定量するためには本助成金により購入されてガスサンプリングユニットと既設の赤外線ガス分析装置を用いた精度のよい測定を継続する必要がある。今後長期継続的に観測をおこなうことによって、サンゴおよびサンゴ礁による二酸化炭素固定のプロセスと量的評価をおこなうことが可能となる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 大森 保,棚原 朗,平良 初男: "竹富海底温泉と地震活動" 地球(Chikyu Monthly). 10. 628-638 (1991)
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[Publications] 蒲生 俊敬,酒井 均,大森 保,ほか: "中部沖縄トラフ、伊平屋凹地(クラムサイト)における熱水性マウンドの構造的、鉱物学的および化学的特徴からみたマウンドの成長過程について:" 海洋科学技術センタ-報告. 9. 163-184 (1991)
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[Publications] Oomori T.and Mitano Y.: "Effect of phosphorous containing compounds on polymorphic formation of calcium carbonate" Mechanisms and Phylogeny of Mineralization in Biological Systems.(SpringerーVerlag,. 500-505 (1991)
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[Publications] Yamauch H.and Miwa N.(Eds.): "Water Resources Respecttive:Okinawa,Hawaii and Micronesia." University of Hawaii press, 144 (1991)