1991 Fiscal Year Annual Research Report
イノシト-ル3リン酸受容体の構造と機能の分子細胞生物学的研究
Project/Area Number |
03455023
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
古市 貞一 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (50219094)
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Keywords | 細胞内情報伝達 / イノシト-ル3リン酸受容体 / イノシト-ルリン脂質代謝 / カルシウムチャネル / ショウジョウバエ / 細胞内カルシウム |
Research Abstract |
1.IP_3受容体の構造・機能相関を解析する研究では、まず各種欠失変異体を作製し培養細胞中で形質発現させ、IP_3結合領域の同定を行った。その結果アミノ末端650アミノ酸が結合活性に不可欠であることが明らかとなった。このことから、IP_3受容体はアミノ末端にリガンド結合領域をもち、先に予想した調節領域(リン酸化部位・ATP結合部位)が中央部に位置し、カルボキシル末端側にCa^<2+>チャネル領域をもつ構造をとると考えられた。この研究成果は、外膜に存在する受容体やチャネルと異なる内膜系に存在するリガンド作動性カチオン選択性チャネルとしての新しい既念を築く一端となった。 2.個体レベルでの遺伝子操作が容易なショウジョウバエからIP_3受容体cDNAをクロ-ニングした。マウス由来の受容体とのアミノ酸配列の比較から、受容体の構造を機能に重要と思われる領域を推定した。また、IP_3受容体mRNAと ^3HーIP_3結合活性の存在様式を発生段階と各組識で解明し、昆虫類におけるIP_3/Ca^<2+>を介した細胞内情報伝達の重要性を明らかとした。染色体マッピングの結果、既知の突然変異体とリンクしないことも明らかとなった。今後、トランスジェニック・ショウジョウバエを作製し、個体レベルでの機能解析を行う。 3.IP_3受容体mRNAの脳内分布をinsituハイブリダイゼ-ション法で明らかにした。小脳ではプルキンエ細胞体に多く存在し、樹状突起にも存在した。これはmRNAが合成後に輸送されて、遊離リボゾ-ムにより翻訳され、樹状突起内のCa^<2+>プ-ルに組み込まれることを示唆している。海馬ではとくにCA1領域に多く、大脳皮質、視床、線状体、側坐核、嗅球にも存在が認められた。このような分布は、PI代謝と連関した神経伝達物質受容体の分布とうまく相関していた。
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[Publications] Miyawaki,A.,et.al.: "Structure-function relationships of the inositol 1,4,5-trisphosphate receptor" Proc,Natl.Acad.Sci,USA. 88. 4911-4915 (1991)
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[Publications] Yoshikawa,S.et.al: "Molecular cloning and characterization of the inositol 1,4,5-trisphosphate receptor in Drosophila malamogaster" J.Biol.Chem.
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[Publications] Furuichi,T.,et.al.: "Widespread expression in the cehtral rervous system and chromosomal localization of the mouse inositol 1,4,5-trisphosphate receptor gene(Insp3r)" J.Neurosci.Res.
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[Publications] 宮脇 敦史ら: "IP_3誘導Ca^<2+>放出の分子機構" 実験医学. 9. 97-102 (1991)