1992 Fiscal Year Annual Research Report
利得結合光分布帰還に基づく超高速・超安定単一モード動作半導体レーザの開発
Project/Area Number |
03505001
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
多田 邦雄 東京大学, 工学部, 教授 (00010710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永沼 充 NTT光エレクトロニクス研究所, 主幹研究員
岩岡 秀人 (株)テラテック, 第一研究部, 部長
村井 徹 東京大学, 工学部, 助手 (60107571)
中野 義昭 東京大学, 工学部, 助教授 (50183885)
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Keywords | 半導体レーザ / 分布帰還型レーザ / DFBレーザ / 利得結合 / 吸収性回折格子 / 多重量子井戸 / 低チャーピング光短パルス / 単一縦モード歩留り |
Research Abstract |
1.InGaAsP/InP長波長帯利得結合DFBレーザ:昨年度開発した標記レーザーのスペクトル線幅を測定し、共振器長600μmの素子において、最低スペクトル線幅2.35MHzを得た。次に素子を利得スイッチング駆動したところ、光パルス幅28ps、時間平均スペクトルの半値全幅0.15nmという値が得られ、これより等価的な線幅増大係数を計算すると0.76という著しく小さい値になった。光通信では波長チャーピングとして、ピークから-20dBの位置でスペクトル幅を測定した値が重要な意味を持つが、本レーザーの2.4GHz強度変調時の-20dbスペクトル幅は、0.2nmと小さかった。これらの結果より、利得結合DFBレーザは波長チャーピングの極めて小さいレーザであると結論できる。2.GaAs/GaAlAs導電型反転吸収性回折格子利得結合DFBレーザ:昨年度開発した標記レーザにおいて利得スイッチング動作特性を測定したところ、光パルス幅として23ps、時間平均スペクトルの半値全幅として0.067nmが得られ、線幅増大係数は2以下の値になった。この構造は本質的に量子井戸との整合性が高いことから、次に活性層に多重量子井戸を導入した素子を試作し、バルク活性層のものに比べさらに10mA程度閾値を低下させることに成功した。閾値電流8.5mA、微分効率0.8mW/mA、副モード抑圧比47dBなどの良好な特性が得られている。多重量子井戸を導入したことにともない、活性領域の利得ピークが短波長側へシフトし、吸収領域における吸収係数の増大、すなわち結合係数の増大が達成され、これによって劈開端面にも関わらず75%〜95%以上という非常に高い単一縦モード歩留りと、共振器長200μmの素子において最低2.2MHzという狭スペクトル線幅が得られた。3.利得結合DFBレーザ一般:外部共振器を利用した利得結合係数の測定法の研究、ならびに相対強度雑音スペクトルによる小信号直接変調帯域の測定・解析を行ない、中間的な成果が得られている。
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