1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03554008
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Research Institution | University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
白田 耕蔵 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (80164771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 肇 東芝, 原子力研, 主査
渡辺 信一 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (60210902)
大谷 俊介 電気通信大学, レーザー極限技術研究センター, 教授 (60023735)
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Keywords | 非線形光学 / 真空紫外コヒーレント光 / 無反転分布レーザー / 量子干渉効果 / 水素原子 |
Research Abstract |
本年度は本計画の最終年度であり水素原子を用いた系の2倍高調波発生過程の一般化の方向、将来の発展方向についての検討を行った。まず、本計画の発展として昨年度から開始されたレーザー場による強結合の方法であるが、準安定の2s準位と3p準位を強結合させることによりこの2準位系を共通の準位に緩和する系へと変換することによりdc電場により生じた干渉効果と同等な効果が生じる。この効果は最近スタンフォード大学のハリス等により予言されElectromagnetically Induced Transparency(EIT)と名付けられたものであるが、本研究はそれを非線形光学過程に拡張した最初の例である。水素原子をテスト媒質として用い、2s準位を2光子励起することにより3p-1s遷移に共鳴する波長103nmのコヒーレント光を共鳴的に増強された非線形感受率を維持しつつ共鳴吸収を取り除いた状態で効率よく発生できることを実験的に明らかにした。理論との厳密な比較も可能となり、発生したコヒーレント光の強度を絶対校正した光検出器により測定し変換効率として2x10-4を得た。この効率は原子数密度等を考慮すれば従来の常識を越えた高効率である。なお、最近、本研究の最大の眼目である2s,2p準位のdc電場による混合を用いた2倍高調波発生法は量子光学の理論家にも注目を集め、本方法がきわめて有効な振幅スクイーズド光の発生法になり得ることが理論的に明らかにされ、将来の発展の方向にも大きな広がりが得られつつある。本研究の着想は他の原子系へも拡張可能である。例として希ガス原子のキセノン系への拡張を試みた。2倍高調波過程については強結合条件を満たせないが差周波混合過程にEITを生ずることが可能となることが理論的・実験的に明らかにされつつある。
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[Publications] G.Z.Zhang: "Nonlinear Optical Generation Using Electromagnetically Induced Transparency in Atomic Hydrogen" Phys.Rev.Lett.71. 3099-3102 (1993)
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[Publications] K.Hakuta: "Nonlinear Optical Generation With Electromagnetically Induced Transparency In Atomic Hydrogen" AIP Conference Proceedings:Laser Spectroscopy. 290. 279-280 (1994)
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[Publications] G.Z.Zhang: "Multiphoton-Ionization-Asymmetries in Autler-Townes Doublet Induced By Nonlinear Optical Generation" Phys.Rev.A. (発表予定). (1994)
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[Publications] 白田耕蔵: "水素原子を用いた水素原子Lyman-β光の発生" レーザー学会研究会報告. RTM94-1. 1-6 (1994)