1992 Fiscal Year Annual Research Report
角度分解電子刺激脱離分光装置とそれを用いた表面励起吸着種検出法の開発
Project/Area Number |
03554015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩澤 康裕 東京大学, 理学部, 教授 (40018015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 洋 東京大学, 理学部, 助手 (20213803)
有賀 哲也 東京大学, 理学部, 講師 (70184299)
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Keywords | 電子刺激脱離 / 固体表面 / 吸着 / Ru / CO |
Research Abstract |
価電子系の励起により固体表面から脱離するイオンや中性化学種は、親吸着種の基底及び励起電子状態のポテンシャル曲面に関する豊富な情報を担っている.これを利用すれば、反応中間体を含む表面吸着種の吸着結合状態を探るうえできわめて有力な実験手法が実現されるので、多くの関心を集めている.しかし、従来の分析器は検出効率が低く、解析上重要な角度分布・並進エネルギー分布・内部状態分布の同時測定は不可能であった.本研究では、表面反応ダイナミクスの解明に決定的に重要な短寿命励起種の検出とキャラクタリゼーションの実験的方法論の確立をめざして、新しい角度分解電子刺激脱離分光装置の開発をおこなった.昨年度は、本研究者らが新たに開発した飛行時間フーリエ変換型イオン分光器を完成させた後、やはり新たに製作した超高真空対応2軸回転機構に搭載して、超高真空槽内に設置した.飛行時間フーリエ変換型イオン分光器は静電型分析器の低エネルギーにおける分解能の悪さ、通常の飛行時間型の検出効率の低さを同時に克服するものであり、本研究者らの独自の考案によるものである.この超高真空槽には、ほかに表面構造解析のための低速電子回折装置、昇温脱離測定のための四重極質量分析計、直視型電子刺激脱離装置などが設置されている.今年度は、Ru(001)上に吸着した一酸化炭素の電子刺激脱離の測定を行なった.酸素イオンと一酸化炭素イオンの脱離を検出し、その飛行時間スペクトルを得ることができた.また、装置上の問題点を明らかにし、改良をおこなった.さらに、表面化学反応の素過程の解明を目指して、Ru(001)表面上における一酸化炭素とメチルアミン、アセチレンなどとの共吸着過程、Mo(112)表面の酸素による化学修飾に関する研究を進めた.
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[Publications] T.Aruga,K.Fukui and Y.Iwasawa: "Ordered Oxygen on Mo(112):Modification of Surface Electronic Structure and Control of Reaction Path" J.Am.Chem.Soc.114. 4911-4912 (1992)
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[Publications] T.Sasaki,F.Kawada,T.Aruga and Y.Iwasawa: "Coadsorption of CO and C_2H_2 on Ru(001):Formation of Mixed Adlayer and the Effect of CO on Acetylene Adsorption" Surf.Sci.278. 291-302 (1992)