1991 Fiscal Year Annual Research Report
選択ド-ピングのできる高温超伝導母体結晶の開発と超伝導体PN接合の試作
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03555001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内田 慎一 東京大学, 工学部, 助教授 (10114399)
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Keywords | 高温超伝導酸化物 / P型ド-ピング / N型ド-ピング / Y系超伝導体 / Pr置換体 |
Research Abstract |
本年度は、P型、N型両タイプのド-ピング可能んば酸化物超伝導体を開発する目的で(1)すでに知られているP型超伝導体の母体結晶へのN型ド-ピングの試みと(2)両タイプのド-ピング可能な母体結晶の設計指針を探求した。 すでに知られている高温超伝導体のキャリア-タイプは、Cu原子をとりまく頂点酸素の有無で決まるという説を本研究グル-プが1989年に提唱した。この説に反する事例は、これまで現れていない。しかし、多くの物質で電子構造や酸素とCuとのイオン化ポテンシャルの差を様々なスペクトロスコピ-手法を用いて検討した結果、典型的なP型高温超伝導体YBa_2Cu_3OでYをPrで置換したPrBa_2Cu_3O_7はN型にド-ピングできる可能性があることがわかってきた。Pr化合物はY系化合物の希土類置換体のうち唯一超伝導性を示さない物質として知られている。本研究により、その原因が、酸素とCuとのイオン化ポテンシャルの差が異常に小さく、他の希土類置換体に比べてP型ド-ピングしにくいためであることがわかった。このような状況はN型超伝導体母体結晶Nd_2CuO_4と同じであり、従ってN型ド-ピングの可能性を示唆するものとして理解できる。 現在、Prの一部をCeに、或はBaの一部をLaに置換するなどのN型ド-ピングを試みており、この努力は次年度にも継続される予定である。近年、Pr化合物とY化合物との積層超格子が多くの研究機関で作製されており、Pr化合物を絶縁体層とする、かなり良質なSIS接合ができ始めている。もしPr化合物がN型ド-ピングにより超伝導体化すれば、これは超伝導体PN接合ということになり、PN接合での現象の探求が可能になるものと期待される。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 内田 慎一: "Electronic Structure of copper oxide superconductors" Physica C (Amsterdam). 185-189. 28-33 (1991)
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[Publications] 安藤 淳: "Low-energy electron loss spectroscopy on Bi_2Sr_2Ca_<n‐1>Cu_nO_<2n+5>" Jpn.J.Appl.Phys.30. 1371-1374 (1991)
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[Publications] 有馬 孝尚: "Optical excitations in CuO_2 sheets and their strong dependence on Cu-O coordination and bond length" Phys.Rev.B. 44. 917-920 (1991)
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[Publications] 内田 慎一: "Optical Spectra of La_<2‐x>Sr_xCuO_4" Phys.Rev.B. 43. 10496-10507 (1991)
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[Publications] M.Alexander: "Electronic Structure studies on the N-type doped superconductors by electron-energy-loss spectroscopy" Phys.Rev.B. 43. 333-343 (1991)
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[Publications] 竹中 康司: "Optical studies on twin-free YBa_2Cu_3O_7 and PrBa_2Cu_3O_7" Phys.Rev.B.
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[Publications] 内田 慎一: "Encyclopedia of Physical Science and Technology (Academic Press)" Robert A.Meyers, 617 (1991)