1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03555040
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
土方 邦夫 東京工業大学, 工学部, 教授 (60016582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 隆夫 石川島播磨重工, 技術研究所, 課長
中別府 修 東京工業大学, 工学部, 助手 (50227873)
中山 恒 東京工業大学, 工学部, 客員教授 (50221461)
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Keywords | 高温超伝導 / ゼ-ベック係数 / 点接触 / 極低温 |
Research Abstract |
高温超伝導については、臨界温度の向上という観点から数多くの研究が行われているが、その応用には超伝導体のもつ熱、電気及び光物性、すなわち、ふく射光の吸収率、吸収した熱量の基板への放熱の速さ、それに従って生じる電磁気特性の変化の正確な把握が不可欠である。本研究はこのような観点から、(1)薄膜の表面輻射物性、(2)低温域で重要となる薄膜と基板との間の接触熱抵抗、(3)超伝導薄膜の熱電性能(ゼ-ベック係数)を4〜100Kに渡って測定し、高温超伝導薄膜の様々の分野への応用においても重要な基礎デ-タを得ることを目的としている。当初市販の液体Heにより極低温環境を実現する予定であったが、その後極低温冷凍機の貸与が受けられることになり、研究の精度と能率が格段に向上した。 この装置に薄膜の物性測定装置を組み込み、研究計画に従って研究を遂行中である。研究の第一ステップとして、点接触によって生じるゼ-ベック係数の測定を、銀と銅基板に銀線を点接触させて広い温度範囲に渡って測定した。実際に起電力が生じることを確認した。これは数百ナノmの接触点の寸法になると、熱輸送と電流との間の相似性が崩れるためである。接触点の前後の温度差と起電力の関係は、ほぼ直線の関係にあり、その値は接触点における電気抵抗値には依らないことが明かになった。この結果からこの方法により、薄膜の局所の温度分布と数μmのオ-ダで決定することができ、今後の超伝導薄膜の物性を決定するための手段を得た。高温超伝導薄膜の作動限界のうち、熱的な問題から生じる限界を測定するために、線巾が10μ程度の2つの薄膜を作り、1つに切り欠きを設け、その点に電流集中を生じさせ、常伝導化して電気抵抗の時間変化を測定する。このためのマスクを作成し、実際に高温超伝導薄膜をエッチングし、実験を開始している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] P.E.Phelan,K.Hijikata,T.Ohmori: "AC Impedance of Thin-Film Bi-Sr-Ca-Cu-O" Proceeding of 4th International Symposium on Superconductivity. (1992)
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[Publications] 土方 邦夫,パトリック フェラン、中別府 修、大森 隆夫、他: "金属間点接触における熱伝達と起電力" 第29回日本伝熱シンポジウム講演論文集. (1992)