1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03555062
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
河野 博之 愛媛大学, 理学部, 教授 (50006144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 潔 日立製作(株), 日立研究所, 主任研究員
笹尾 真実子 核融合科学研究所, 助教授 (00144171)
和田 元 同志社大学, 工学部, 助教授 (30201263)
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Keywords | 負イオン源 / 電子刺激脱離 / 陽イオン刺激脱離 / 水素負イオン |
Research Abstract |
構造が簡単な上に小型軽量で、更に、消費電力の割に高出力が期待できる新型の負イオン源を開発する為に、一昨年来の研究を更に推進した。即ち、手許の質量分析計及び、試作した負イオン源を更に改良して,色々な実験条件の下で,負イオンの生成量及びイオン収率(イオン放射電流対衝撃電流の比)を調べた。その結果,(1)衝撃電子電流や電子電圧に対する負イオン放射量の依存性は、同一負イオン種々についても,用いる粉末試料の種類によって異なること、更に、負イオンの種類が変われば,大きな相違を示すこと,(2)そのような相違は,試料分子や原子の熱化学的性質(例えば、電子親和力や解離エネルギーなど)と単純な相関関係は示さないこと、しかし,(3)NaHeLiHからH^-が生成される場合には、負イオン収率(Y^-)と衝撃電子エネルギー(E)との間に、Y^--A^-exp〔-B^-/E〕の実験式が成立し、同じくH^+についても類似の式が成立すること、などを見出した。一方、(4)自己加坦方式の改良型負イオン源で調べたところ、電子衝撃中にNaFを200K上昇させてもNa^-の生成量は約2.5倍にしか増加せず,LiHを600Kから5900Kに上昇した場合には30%もの減少が見られた。一方、AgClを融点(722K)近くまで上昇させると,Ag^-の量が7倍に増大した。(5)この昇温効果を、電子衝撃なしで行なったところ、CaH_2からH^-が容易に放射されることを見出し,その蒸発熱の実測値と、熱化学的なエネルギーサイクルより,CaH_2表面の仕事関数が求められることも示した.又,CaH_2からの全放射負電流は99%以上が熱電子であることも確認した。又(6)粉末試料については正イオン衝撃によっても,効果的な負イオン化が可能なことも示した。 以上の研究成果は、日本化学会や日本物理学会、第5回イオン源国際会議(於北京)などで口頭発表すると共に、国内外の学術誌上に英文で公表している。また、この3年間に及ぶ研究業績は、約120頁の別冊(研究成果報告書)に要約してある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Kawano,M.Wada,M.Sasao,K.Miyake,Y.Ashida,H.Nagayasu: "Development of an electron-stimulated desorption type negative ion source using a powdery sample" Rev.Sci.Instrum.〔Proc.5th Int.Conf.Ion Sources,Peking,1993〕. 65 (印刷中). (1994)
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[Publications] M.Wada,H.Tsuda,M.Sasao,H.Kawano: "Production of negative lithium ions from powdery LiH by ion stimulated desorption" Rev.Sci.Instrum.〔Proc.5th Int.Conf.Ion Sources,Peking,1993〕. 65 (印刷中). (1994)
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[Publications] H.Kawano,Y.Ashida,H.Nagayasu,N.Serizawa: "Thermal negative hydride ion emission from heated saline hydride powder" Proc.3rd Workshop on Negative Ion Formation and Beam Handling,KEK,Aug.1993. (印刷中). (1994)
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[Publications] 和田元,笹尾真実子,河野博之: "粉末材料を用いた小型負イオン源" 第4回粒子線の先端的応用技術に関するシシンポジウム講演予稿集. 63-66 (1993)
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[Publications] 永易洋,足田靖成,河野博之: "粉末固体試料の電子衝撃による気相陰イオンの生成反応とその昇温効果" 日本化学会中国四国支部・同九州支部合同大会講演予稿集,高知大学,平成5年11月. 10 (1993)
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[Publications] 芹沢直嗣 足田靖成 河野博之: "粉末状水素化物の加坦による気相水素陰イオンの生成反応" 日本化学会中国四国支部・同九州支部合同大会講演予稿集,高知大学,平成5年11月. 11 (1993)