1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03555083
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樋口 俊郎 東京大学, 工学部, 教授 (10111569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沢辺 雅二 株式会社ミツトヨ, 研究開発本部, 取締役副本部長
川勝 英樹 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (30224728)
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Keywords | 走査型トンネル顕微鏡 / ナノテクノロジ- / 測長 / 位置決め |
Research Abstract |
本年度は、実験に用いている走査型トンネル顕微鏡(scanning tunneling microscope,以下STM)の制御用電気回路の見直しと、STM本体の構造の変更を行った.得られた成果は大別して3項目ある.以下に順を追って列挙する.(1.制御回路の見直し)本研究では、トンネルユニットを2個有するデュアルトンネルユニット型STMを用いて試料と結晶の結像を行い、両者を比較することによって格子定数を基準とした比較測長を行うものである.そのため、本実験には研究者らの作製による2組のSTM制御装置を必要とする.補助金の交付を受ける前までは、制御装置の作動がやや安定を欠いており、一方のトンネルユニットで良好な像が得られても他方の像の質が低いなどの問題点があった.本年度は、回路の各種定数の見直しと、2組の制御回路のきめ細かいマッチングを行った.その結果、極めて高い頻度で良好な2個のSTM像を同時に得ることが可能となった. (2.相対ドリフトの小さいマルチプロ-ビング機構の開発)デュアルトンネルユニットSTMを用いた比較測長の実験では、2個の探針の相対ドリフトが小さいほど測長精度が向上することが確認されている.我々は、新しい構想に基づく、ナノメ-タオ-ダの位置決め分解能を有し、かつ、複数の探針を相互干渉なく位置決めできる装置を作製した.位置決め実験の結果、一方の探針を試料の方向に100ミクロン動かした場合でも、他方の探針の累積変位が数ナノメ-タ以下であることを確認した. (3.比較測長精度の向上)比較測長精度に影響を与える要素として、探針の相対ドリフトと試料の傾きが挙げられる.本年度はこの2要素をSTM像の取り込みとリアルタイムで計測し、像に対するソフトウエアの補正を行った.その結果、測定の方位によらず測定誤差が1%程度に向上することを確認した.
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