1992 Fiscal Year Annual Research Report
ファジイ・エキスパートシステムによる危険斜面診断法の開発に関する研究
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03555111
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
沖村 孝 神戸大学, 工学部, 助教授 (50031125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 耕 (株)ソイルコンサルタンツ神戸事務所, 所長
柏谷 健二 神戸大学大学院, 自然科学研究科, 助手 (30161029)
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Keywords | エキスパートシステム / ファジイ理論 / 斜面危険度 / 危険度診断 / 斜面崩壊 / 落石 |
Research Abstract |
平成3年度に完成させたファジイ・エキスパートシステムによる斜面危険度診断法のプロトタイプを、このモデルの作成に全く寄与しなかった異なるエキスパートによって検証した。これは(1)プロトタイプエキスパートシステム内の知識ベースの検証と再構築、(2)その過程を通して斜面安定のエキスパートが有している知識・経験の整理、(3)これらを通した新らたな斜面危険度診断法の確立のために実施した。その結果、地質要因や人工的改変、対策工等の要因を追加するとともに、確信度の変更を多くの要因で行った。これらを用いて、異なる別の斜面で再び検証を行った。その結果、新たに問題となった項目を、「システムの知識ベースおよび推論エンジンの課題」と、「調査方法の課題(個人差の問題)」の二つに分けて整理し、今後の問題点を指摘した。 平成4年度は更に市販のエキスパートシステム作成ツールを用いて、兵庫県内の道路斜面の落石・崩壊に影響する要因の分析およびエキスパートシステムの作成を実施した。これは兵庫県において実施された「兵庫県道路防災点検調査データ」をお借りして実施した。これらのデータおよび落石・崩壊の事実より、落石・崩壊に影響を及ぼす要因をこのツールによって次のように明らかにした。まず兵庫県を但馬、丹波、播磨、摂津、阿波の5つの地域に分割し、それぞれの地域で示される重要な要因を求めたところ、但馬、阿波では崩壊履歴が、摂津、丹波では斜面や法面の表土・浮き石・転石の状況が、播磨では斜面の現状の変状が指摘された。一方、兵庫県を地質別に分けたところ、北但層群、和泉層群では崩壊履歴が、流紋岩類、丹波層群では斜面、法面の表土・浮き石・転石の状況が、高位段丘では崩壊性地形と湧水が、その他の複合地質では斜面の現状の変状が重要な要因となることが明らかになった。またそれぞれの地域、地質毎にエキスパートシステムも作成した。
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[Publications] 沖村 孝・広兼 道幸・三上 市蔵・西垣 誠・岡田 純治: "土質工学分野" 土木学会関西支部講習会テキスト「土木工学へのエキスパートシステムの適用と可能性」. 77-94 (1992)
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[Publications] Takashi Okimura and Yoshinao Muraki: "An Expert System for Predicting the Probable Failure of a Mountain Slope during Heavy Rainfall" Zeitschrift fur Geomorphologie. Suppl-Bd87. 151-161 (1993)