Research Abstract |
本研究で対象とする新潟県矢代川地域は,需要量の増大に対して地形・地質などの条件よりダムの建設適地に乏しいことから,水需給バランスのとれず,新たな水資源開発手法が望まれている。そこで本研究では,雪崩による集雪技術,融雪量と必要涵養量の推定,流出量の推定を目的として,現地調査,モデル化,シミュレ-ションからなる。 1)航空写真および地形図より雪崩発生ヶ所の推定を行うとともに,ガス砲を用いた雪崩発生実験に参加した。 2)塩水を用いた密度フロント発生実験より,粉雪雪崩の3次元的性質を把握し,数値モデルを構成するとともに,現地地形を想定した粉雪雪崩の3次元数値シュミュレ-ションにより,雪崩による雪の堆積地点を推定した。 3)雪ダムにおける融雪特性の調査のために,矢代川支流中野川流域の谷部において融雪観測を5月〜6月に実施した。計測項目は,気温・湿度・風向・風速・日射量・反射量・散乱日射量・放射収支量・積雪深(カメラ方式による6時間毎)で,融雪の進行とともに観測地点を上流地区に移設した。観測の結果,平地部に比較して融雪熱量に占める放射収支量の割合が小さく,おもに斜面風による潜熱交換量の割合が大きいことが示された。 4)中野川流域2500分の1の地形図より25mメッシュ標高デ-タを作成し,地形量(斜面向き,勾配,流路網)を計算し,ファイル化した。また,1989年,1990年,1991年における航空写真デ-タから判別される積雪域に分布型融雪流出モデルを適用し,融雪期のハイドログラフを再現した。さらに,雪ダム候補地点に仮想堆雪域を設定し,分布型融雪流出モデルを適用して,雪ダムによるハイドログラフの変化を抽出して,その効用を推定した。
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