1992 Fiscal Year Annual Research Report
高強度高イオン導電性立方晶ジルコニアセラミックス材料の開発研究
Project/Area Number |
03555168
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
島田 昌彦 東北大学, 工学部, 教授 (80029701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 哲夫 三菱マテリアル(株), セメント研究所, 所長補佐
滝沢 博胤 東北大学, 工学部, 助手 (90226960)
遠藤 忠 東北大学, 工学部, 助教授 (30176797)
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Keywords | 高強度立方晶ジルコニア / アルミナ分散立方晶ジルコニア / 固体電解質 / ポストHIP焼結 |
Research Abstract |
立方晶ジルコニアとしてイオン伝導率が最大となる8モル%イットリア固溶ジルコニアの高強度化を目指して、アルミナ粒子分散による粒子分散強化機構の可能性を探求した。8モル%イットリア固溶ジルコニア粒末に0.2-0.6umのアルミナ粒末を10-30体積%添加した複合粒末を空気中1500℃で10時間常圧焼結し、さらに150MPa,1400℃で1時間ポストHIP焼結を行ない、理論密度に有する緻密質焼結体を作製した。複合焼結体の立方晶ジルコニアの粒径は、アルミナ粒子添加量の増加とともに減少し、無添加の場合の10um粒子径が20体積%添加で4um,30体積%添加で2um程度となり、粒子分散強化と同時にマトリックス粒子の微細化による高強度化が期待できる微細構造を有する立方晶ジルコニア/アルミナ複合焼結体が作製できた。得られた複合体の全イオン伝導率は、アルミナ粒子添加量の増加とともにわずかに減少した。空気中900℃での伝導率は、無添加立方晶ジルコニアで0.1Scm^<-1>,10体積%添加で0.085Scm^<-1>,20体積%添加で0.063Scm^<-1>であった。複合体の破壊強度と破壊靭性値は向上し、無添加立方晶ジルコニアで、170MPaと2.6MPam^<1/2>であったが、10体積%添加で330MPa,3.0MPam^<1/2>,20体積%では360MPa,3.3MPam^<1/2>となった。本研究成果で得られた結果は、前年度の研究で行なった正方晶ジルコニア粒子分散立方晶ジルコニア複合体についての結果と比較して、伝導率を低下させずに高強度化・高靭性化できることが明らかとなり、特に8モル%イットリア固溶立方晶ジルコニアへの10および20体積%のアルミナ粒子分散は、900℃でのイオン伝導率も高い上に、破壊強度は2倍、破壊靭性は1.3倍と機械的特性は向上し、平板型固体電解質型燃料電池の電解質として優れた材料と考えられる。今後は、伝導率と機械的特性の向上・両立性という観点から、伝導率の向上が期待されるスカンジア固溶ジルコニア系の基礎的研究を行なう。
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Research Products
(1 results)