1992 Fiscal Year Annual Research Report
エナンチオ選択的接触水素化による光学活性物質の直裁的合成手法の確立
Project/Area Number |
03555178
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高谷 秀正 京都大学, 工学部, 教授 (40022644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐用 昇 高砂香料工業株式会社, 総合研究所, 副主任
雲林 秀徳 高砂香料工業株式会社, 総合研究所, 室長
玉尾 京子 京都大学, 工学部, 助手 (60222197)
太田 哲男 京都大学, 工学部, 助手 (50213731)
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Keywords | BINAP / 不斉水素化 / 不斉ヒドロホルミル化 / β-ブチロラクトン / ルテニウム錯体触媒 / イリジウム錯体触媒 / ロジウム錯体触媒 / ビスホスファイト配位子 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度の研究成果に基づき主に以下の点を明らかにした。 1.これまで不斉水素化がほとんど報告されていない、あるいは不斉水素化が困難とされている置換形態や官能基をもつオレフィン類やケトン類を基質に取り上げ、BINAP-Ru(II)錯体触媒による不斉水素化の検討を行った。その結果、環状α,β-不飽和ケトン、アルキリデンラクトン、アルケニルエーテル類の不斉水素化が高い不斉収率で進行することを明らかにした。また、その応用として、生物分解性ポリマーのモノマーである光学活性β-ブチロラクトンの合成を行った。さらに、α-ケトエステル類の不斉水素化を検討し、酸の添加効果を示すとともに、各種生理活性化合物の合成に応用した。 2.電子豊富なイリジウムを中心金属に用いることにより、これまで高い不斉水素率が得られなかった比較的単純な構造の各種ケトンの不斉水素化を実現した。BINAPのビナフチル環を部分的に水素化した新規BINAP誘導体を合成し、そのイリジウム錯体やBINAPのイリジウム錯体をアミノホスフィンと組み合せて触媒として用いることにより、芳香環が縮合したシクロアルカノン類の不斉水素化が極めて高い不斉水収率で進行することを明らかにした。又、硫黄原子を環内にもフシクロアルカノン類の不斉水素化も検討し、次世代β-ラクタム系抗生物質の側鎖の合成に応用した。 3.新規ビスホスファイト配位子のロジウム錯体を触媒に用い、不斉ヒドロホルミル化反応を検討し、ビニルアセテートがこれまでの最高に近い不斉収率でヒドロホルミル化できることを明らかにした。また、触媒の構造、挙動をNMRにより研究し、ビスホスファイト配位子がビスホスフィン配位子より、中心金属に強く配位することを明らかにするとともに、触媒活性種に関する情報を得た。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Ohta,T.Miyake,N.Seido,H.Kumoba,S.Akutaga.,H.Takaya: "Asymmetric Hydrogenation of Unsaturated Carbonyl Compounds Catalyzed by BINAP-Ru(II) Complexes." Tetrahedron Lett.33. 635-638 (1992)
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[Publications] K.Mashima,T.Akutagawa,X.Zhang,H.Takaya,T.Taketomi,H.Kumobaya,S.Adutagawa: "Chemoselective Asymmetric Hydrogenation of -Unsaturated CArbonyl Compounds to Allylic Alcohols Catalyzed by [Ir(binap)(cod)]BF4-aminophophine" J.Organometal.Chem.428. 213-222 (1992)
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[Publications] K.Mashima,T.Hino,H.Takaya: "Synthesis and Characterization of Mono-and Trinuclear BINAP-Ruthenium Complexes and Their CAtalytic Activity" J.Chem.Soc.,Dalton Trans.2099-2107 (1992)
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[Publications] N.Sakai,K.Nozaki,K.Mashima,H.Takaya: "Asymmetric Hydroformylation of Vinyl Acetate by Use of Chiral Bis(triarylphosphite)-Rh(I) Complexes" Tetrahedron:Asymmetry. 3. 583-586 (1992)
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[Publications] T.Ohta,T.Miyake,H.TAkaya: "An Efficient Synthesis of Optically Active 4-methyloxetane-2-one:Asymmetric Hydrogenation of Diketene Catalyzed by BINAP-Ru(II) Complexes" J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1725-1726 (1992)
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[Publications] H.Tanaka,T.Ohta,K.Mashima: "New 2,2'-Bis(diphenylphosphino)-1,1'-binaphthyl-Ru(II) Complexes for Asymmetric Hydrogeantion." American Chemical Society,Washigton DC, 40 (1992)