1992 Fiscal Year Annual Research Report
電極酸化により発生させたハロゲン活性種によるオレフィン類の活性化とその応用
Project/Area Number |
03555182
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松村 功啓 京都大学, 工学部, 助教授 (60026309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木瀬 直樹 京都大学, 工学部, 助手 (90177824)
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Keywords | 電極酸化 / ハロゲン活性種 / オレフィン |
Research Abstract |
電極酸化により特異な反応性を有するハロゲン活性種を創成し、これを用いてオレフィン類を活性化、その有効利用を計るのが本研究の目的である。本年度の研究成果は以下のとおりである。 1)環状エナミン誘導体の環縮小反応 環状アミンのN-メトキシカルボニル誘導体を、メタノール中で電極酸化し、その酸化生成物を酸触媒存在下、加熱することによって対応する環状エナミン誘導体に変換することができる。この環状エミナン誘導体に電極酸化によりオルト蟻酸メチル溶媒中で発生させたヨードカチオン活性種を作用させると環縮小反応が起こることを見いだした。7員環の環状アミンからピペリジン誘導体に、ピペリジン環からピロリジン誘導体に変換することができた。しかし、ピロリジン誘導体からアゼチヂン誘導体への変換は起こらず、α,β-ジ置換ピロリジン誘導体が生成した。 2)環状エナミン誘導体を経由するβ-アリール-置換環状アミン類の合成 1)に記した方法で合成した環状エナミン誘導体にメタノール中でブロムあるいはヨードカチオンを反応させると、β-ハロ-α-メトキシ体が高収率で得られた。次いで酸触媒によりα-メトキシ基をアリール基で置換した。さらに、その生成物であるβ-ハロ-α-アリール環状アミンに銀塩を反応させるとβ-位ハロゲンが脱利し、α-アリール基が効率良くβ-位に転移してβ-アリール置換環状アミン誘導体が合成できた。この方法で、入手容易な環状アミンからメセンブリンに代表される数種のアルカロイド合成に成功した。 3)エノール型オレフィンへのハロゲンカチオン活性種の付加反応 電極酸化によりメタノール中で発生させたヨードカチオン活性種を塩基性条件下にアルデヒドに作用させると、α-ヒドロキシジメチルアセタールが高収率で得られることは既に見いだしている。この反応はアルデヒドが塩基性条件下でエノール型オレフィンに一部変換しており、これにヨードカチオン活性種が付加する機構で説明できる。この方法を利用してシクロヘキサノンからδ-アミノ-γ-オキソバレリン酸誘導体の合成に成功した。
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