1991 Fiscal Year Annual Research Report
炭素数160を目標とした超高純度長鎖n-アルカンの合成と結晶基礎物性に関する研究
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03555191
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高見沢 橄一郎 九州大学, 工学部, 教授 (10037707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
占部 美子 九州大学, 工学部, 助手 (80037796)
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Keywords | n-アルカン / 長鎖カルボン酸 / 同族体純度 / オクタコンタン / ドヘクタン / ブルツ縮合反応 / ケテン二量化反応 / 高温キャピラリ・ガスクロマトグラフ |
Research Abstract |
1.高級n-アルカン合成法の検討:高純度の長鎖カルボン酸は市販品として入手し易く、最も長いものの炭素数は31である。これらを出発物質として炭素数62迄のn-アルカン(略記Cn:n炭素数)は比較的容易に合成出来る。偶数Cnはアルコ-ルを経てヨウ化物とし、ブルツ反応により2量化して得る。一方、奇数系列は、酸塩化物のケテン2量化反応で得た対称ケトンを還元して合成する。長鎖になると、ケテン2量化反応の高温化に伴い、副反応を伴い収率が低下し、奇数Cnの上限の炭素数は約65と考えられる。他方、ブルツ反応による2量化は反応条件-溶媒、濃度など-を適切に設定することにより、炭素数の制約は比較的軽いとと考えられる。 高い同族体純度の試料を得るためには、最終段階をブルツ2量化とすることが最適である。従って、上記の長鎖カルボン酸の鎖延長反応により長鎖n-アルキルヨウ化物を得るのが適切と考えられる。現在、一端をメトキシフェノキシ基で保護した20-ヨ-ドアイコサンとヨウ化n-アルキルのブルツ反応による延長法を採用している。クロス反応であるが、副生成物は吸着能の差が大きいので、カラム法で比較的容易に分離可能であり、高純度の目的物を得ることができる。C80をアイコサンジオ-ルとアイコサン酸を出発物質として、最終的にはGPC法により精製する必要があったが、純度99.3%で約200mg合成することができた。現在、カルボン酸としてヘントリアコンタン酸を用い、C102を目標に合成中であり、最終のブルツ縮合の収率向上が鍵であることが判った。 2.純度分析法の検討:C80までの純度分析には、本課題の研究費で購入した高温キャピラリ・ガスクロマト装置が威力を発揮し、昇温分析法により定量的デ-タを求め得ることが判った。なお、C102も溶出してくることも確かめえた。
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[Publications] A.Toda,H.Miyaji,Y.Ogawa,and K.Takamizawa: "Lateral habits of n-alkane single crystals" J.Mater.Sci.26. 2793-2796 (1991)
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[Publications] K.Takamizawa and H.Toratani: "Application of a high pressure d.t.a.to study the pressure-glassification of polystyrene" Polym.Commun.,. (1992)
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[Publications] 高見沢 橄一郎、児玉 雅弘、松永 慎也、塩川 浩三: "α,ω-ジハロゲノアルカンの結晶構造と双極子相互作用" 九大総理工研究科報告. 13. 271-278 (1992)
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[Publications] 高見沢 橄一郎、斎田 壮一郎、藤本 寿一、占部 美子、小川 芳弘: "高純度n-アルカン結晶の高温相の発現と鎖長および偶奇性との関連" 第40回高分子学会年次大会予稿集. 40. 1152- (1991)
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[Publications] 虎谷 博歳、高見沢 橄一郎: "高分子ガラス転移温度と凍結速度の関係に及ぼす圧力効果" 第40回高分子学会年次大会予稿集. 40. 1203- (1991)
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[Publications] 虎谷 博歳、松尾 康司、高見沢 橄一郎: "ガラス転移温度の分子量依存性に及ぼす圧力の効果-ポリスチレンとポリメタクリル酸メチル" 第40回高分子学会年次大会予稿集. 40. 1204- (1991)
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[Publications] 虎谷 博歳、松尾 康司、高見沢 橄一郎: "ガラス転移温度の分子量依存性に及ぼす圧力の効果(II)-ポリスチレンとポリメタリル酸メチル-" 第28回化学関連支部合同九州大会予稿集. 28. 67- (1991)
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[Publications] 高見沢 橄一郎、占部 美子、小川 芳弘: "炭素数80までの高純度n-アルカンの高温相" 第40回高分子討論会予稿集. 40. 3814-3816 (1991)
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[Publications] 高見沢 橄一郎、児玉 雅弘、松永 慎也、塩川 浩三: "α,ω-ジハロゲノアルカンの結晶構造と双極子相互作用" 第40回高分子討論会予稿集. 40. 3817-3819 (1991)
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[Publications] 猿山 晴夫、高見沢 橄一郎、占部 美子: "高純度n-パラフィンのacカロリメトリ-法による熱測定" 第40回高分子討論会予稿集. 40. 3820-3822 (1991)
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[Publications] 高見沢 橄一郎、仲宗根 桂子 占部 美子: "n-アルカンと直鎖対称ケトンの相転移及び混合系の性質" 第27回熱測定討論会予稿集. 27. 102-103 (1991)
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[Publications] 虎谷 博歳、松尾 康司、高見沢 橄一郎: "ガラス転移温度の分子量依存性に及ぼす圧力の効果(III)" 第27回熱測定討論会予稿集. 27. 148-149 (1991)
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[Publications] 高見沢 橄一郎、小川 芳弘、藤永 光之、占部 美子: "オクタコサンの合成と相転移に関する研究" 第28回化学関連支部合同九州大会予稿集. 28. 48- (1991)
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[Publications] 高見沢 橄一郎、児玉 雅弘、松永 慎也、上野 祐彦、塩川 浩三: "α,ω-ジハロゲノアルカン類の結晶構造と充填様式" 第28回化学関連支部合同九州大会予稿集. 28. 48- (1991)
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[Publications] 高見沢 橄一郎、仲宗根 桂子、占部 美子: "直鎖対称ケトン/n-アルカン系の相図に及ぼす鎖長の効果" 第28回化学関連支部合同九州大会予稿集. 28. 49- (1991)
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[Publications] 高見沢 橄一郎、斎田 壮一郎、藤本 寿一、林 裕一郎、占部 美子: "高純度ヘキサヘキサコンタンまでの偶奇n-アルカン結晶の高温相の発現" 第28回化学関連支部合同九州大会予稿集. 28. 49- (1991)
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[Publications] 高見沢 橄一郎、占部 美子、藤田 克幸: "鎖状分子化合物のミクロDSC測定に及ぼす試料量の効果" 第28回化学関連支部合同九州大会予稿集. 28. 50- (1991)
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[Publications] 虎谷 博歳、高見沢 橄一郎: "高圧DTA法によるガラス転移の測定" 第28回化学関連支部合同九州大会予稿集. 28. 66- (1991)
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[Publications] 虎谷 博歳、高見沢 橄一郎: "定温・定圧走査DTAによるポリスチレンの加圧ガラス転移挙動の研究" 第27回熱測定討論会予稿集. 27. 150-151 (1991)
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[Publications] 高見沢 橄一郎: "鎖状分子の結晶化における高温構造の凍結" 高分子の結晶化機構研究会予稿集. 51-56 (1991)
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[Publications] 上野 祐彦、虎谷 博歳、占部 美子、塩川 浩三、高見沢 橄一郎: "屈折率測定による高分子のガラス転移の研究" 応用物理学会九州支部講演会予稿集. 59-60 (1991)
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[Publications] 高見沢 橄一郎: "融解現象「高分子機能材料」シリ-ズ第3巻" 高分子学会編共立出版社, (1992)