1991 Fiscal Year Annual Research Report
廃熱等回収用の潜熱蓄熱・フラッシュ蒸発ハイブリッドシステムの開発研究
Project/Area Number |
03555200
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮武 修 九州大学, 工学部, 教授 (70038579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飛松 浩樹 東陶機器(株), 基礎研究所, 研究員
野田 英彦 九州大学, 工学部, 助手 (00112409)
橋本 俊行 九州大学, 工学部, 助手 (80091403)
深井 潤 九州大学, 工学部, 助教授 (20189905)
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Keywords | 省エネルギ- / 潜熱蓄熱 / フラッシュ蒸発 / ハイブリッドシステム / 形状安定化ポリエチレン / スプレ-フラッシュ蒸発 / 放熱特性 / 蒸発効率 |
Research Abstract |
形状安定化ポリエチレンを潜熱蓄熱材に用いることにより,熱媒体との直接接触による熱交換を可能にし,熱媒体をスプレ-フラッシュさせて短時間に効率よく蒸気を得ることができる,潜熱蓄熱・フラッシュ蒸発ハイブリッドシステムを設計・製作・組み立てた. まず,蓄熱材に融点124℃の架橋高密度ポリエチレン,熱媒体にエチレングリコ-ルを用いて放熱実験を行い,非定常的な動特性を測定した.その結果,蓄熱槽出口温度および放熱開始からの時間を無次元化,規格化することにより放熱特性を予測できる半経験式を導いた.また,蓄熱材を充填した蓄熱槽内の熱伝達現象を,簡単なモデルを適用して差分法による数値解析を行い,実験で得られた蓄熱槽出口温度と比較したところ,実用的には十分な精度で一致する結果を得た. 本ハイブリッドシステムは,廃熱,太陽熱,深夜余剰蒸気などの間欠性熱源を利用して一旦蓄熱材に蓄熱し,高負荷時に蓄熱材と直接接触させて加熱した熱媒体を蒸発室に導き,スプレ-フラッシュ蒸発させることにより蒸気を取り出すことを意図したシステムである.したがって,需要の多い水蒸気を得るためには,熱媒体に水が最適であり,システムの圧力を適度に低く保持するため低融点の蓄熱材が必要となる.企業の協力により開発した低融点(融点95℃)の架橋ポリエチレンを潜熱蓄熱材として実験を行ったところ,蓄熱材相互の融着による熱媒体間隙流路の閉塞が発生した.したがって,より融着の少ない蓄熱材の開発を現在進めており,すでに二,三の有用な架橋ポリエチレンを調製した. スプレ-フラッシュ蒸発に関しては,フラッシュ室流入熱媒体温度を120℃から70℃に低下させながら,放熱を模擬したフラッシュ蒸発の実験を行った.その結果,蒸発効率が0.9以上の激しいフラッシュ蒸発が継続されることを確認した.また,管路内での沸騰,ポンプでのキャビテ-ションによる流量変動を防止するため,圧力平衡に十分配慮する必要が有ることが判明した.
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[Publications] Osamu Miyatake: "Latent Thermal Energy Storage in Columns Packed with Cylindrical Rods and Pellets of Form-Stable Polyethylene" Proceedings China-Japan Chemical Engineering Conference. 664-671 (1991)
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[Publications] 宮武 修: "スチ-ムアキュミュレ-タ内のフラッシュ蒸発特性に関する基礎研究" 化学工学論文集. 17-5. 983-989 (1991)
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[Publications] 宮武 修: "樹脂円柱群を充填した潜熱蓄熱槽の放熱特性" 空気調和・衛生工学会論文集. 48. 61-69 (1992)
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[Publications] Osamu Miyatake: "The Liquid Flow in Multi-Stage Flash Evaporators" International Journal of Heat and Mass Transfer.
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[Publications] 橋本 俊行: "スプレ-フラッシュ蒸発現象に及ぼすノズル形状の影響" 日本海水学会誌.
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[Publications] 飛松 浩樹: "パラフィンワックスによる潜熱蓄熱" 空気調和・衛生工学会論文集.