1991 Fiscal Year Annual Research Report
界面を分離場として利用する希土類金属分離のための新規油溶性錯化剤の開発
Project/Area Number |
03555203
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中塩 文行 九州大学, 工学部, 教授 (70037729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 彦忠 三井サイアナミッド(株), 技術研究所, 所長
後藤 雅宏 九州大学, 工学部, 助教授 (10211921)
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Keywords | 希土類金属 / 抽出 / 分離 / 界面 / 錯化剤 / 液膜 / エマルション / 界面活性剤 |
Research Abstract |
本研究では、最近、先端技術を支える高機能性材料に必須の金属として注目されている希土類金属の分離精製に対する界面場の利用に着目し、本分離プロセスに最適な優れた分離性能を有する新規油溶性錯化剤の開発を目的として研究を行い、以下のような新たな知見を得た。 1.新規油溶性錯化剤の設計とその合成 界面を有用な分離場として利用するためには界面吸着能力が大きく界面配向性に優れた錯化剤分子を設計する必要がある。また、繰返し使用し、分離プロセスの高効率化を図るためにはこれらの分子を油溶性にすることも重要な因子である。さらに、油一水界面において希土類金属間の分離性能を向上させるためには希土類金属イオンと強く相互作用し、しかもそれぞれの錯体の安定度定数に差が生じることが望ましい。以上のような観点から、本研究では、親水部分にEDTA、あるいはDTPA等のキレ-ト部位を有し、疎水部に長鎖オレイル基を2本導入した錯化剤分子を設計し、それぞれの分子の合成法を確立した。 2.新規錯化剤を用いた希土類金属の分離性能の検討 希土類金属の代表的なリン酸抽出剤PC-88Aに、上記で合成した新規錯化剤、EDTA-ジアルキル誘導体およびDTPA-ジアルキル誘導体を添加して、重希土類金属エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)およびイットリウム(Y)の抽出分離実験を行った。その結果、EDTA誘導体を有機相に微量添加することによって、Er-Y間およびHo-Y間の分離が極めて向上することが明かになった。また、これらの分離の向上は平衡状態では観察されず、速度論的な分離(速度差分離)であることが示された。 3.液膜分離法への新規錯化剤の利用 溶媒抽出法をさらに高効率化した分離手法として液膜分離法が挙げられる。本研究では、先に合成した新規錯化剤を組み込んだ乳化型液膜法により重希土類金属とイットリウムの分離を試み、従来の液膜系に比べてEr-Y間の分離性能が非常に向上することを明かにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Masahiro Goto,Fumiyuki Nakashio: "Effect of new surtactants on zinc extraction with liguid surtactant membranes" J.Membrane Science. 57. 161-174 (1991)
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[Publications] 中塩 文行,栫 隆彦,後藤 雅宏: "液膜法による希土類金属の分離の現状と課題" ケミカルエンジニヤリング. 37. 77-85 (1992)
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[Publications] Kazuharu Yoshizuka,Fumiyuki Nakashio: "Extraction Kinetics of Holmium and yittrium with D2EHPA in membrane extractor using a hollow fiber" Proc.ISEC'90. 805-810 (1992)
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[Publications] Fumiyuki Nakashio,Masahiro Goto: "New surtactant for metal extraction by liguid surtactant Membranes" Proc.ISEC'90. 1459-1468 (1992)
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[Publications] Masahiro Goto,Fumiyuki Nakashio: "Separation of yittrium in the membrane extractor using hollow fiber" J.Membrane Science.
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[Publications] Masahiro Goto,Fumiyuki Nakashio: "Selective separation of rare earth metals with new oil-soluble complexing agents" J.Chem.Eng.Japan.