1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03556011
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 眞狩 東京大学, 農学部, 教授 (60011889)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門倉 広 東京大学, 農学部, 助手 (70224558)
依田 幸司 東京大学, 農学部, 助教授 (20143406)
|
Keywords | アルカリ性エラスターゼ / 食肉軟化剤 / サチライシンE / 蛋白質工学 |
Research Abstract |
我々が見いだした好アルカリ性バチルス属細菌Ya-B株が、菌体外に生産・分泌するアルカリ性エラスターゼは食肉の新しい軟化剤として期待されていた。しかし本酵素の至適pHは11.8という高アルカリ域にあり、食肉のpH、即ち5-6でもなお食肉の軟化作用があるかどうかは不明であった。そこでpH6.0でエラスチン、コラーゲン、ミオフィブリル、対照としてのカゼインに対する分解活性を他の既存軟化用酵素と比較して調べた。ウシ膵臓エラスターゼ、ブロメライン、パパイン、クロストリジウム属細菌のコラゲナーゼとの比較でアルカリ性エラスターゼは最も高いエラスチン/ミオフィブリル分解比、コラーゲン/ミオフィブリル分解比を与え、ミオシン重鎖やアクチンの分解が軽度でしかもエラスチンやコラーゲンなどの硬蛋白質を良く分解するという食肉軟化剤としての勝れた性質を示した。また実際に食肉に注射することにより、食肉軟化剤として実際に利用できることを示した。 次に、本酵素の構造とエラスターゼ活性との関係を調べるため、蛋白質工学的研究を行なった。アルカリ性エラスターゼとサチライシンBRN'は55%の相同性がある。X線結晶解析によりサチライシンBPN'の立体構造はすでにあきらかにされており、これを基にエラスターゼの立体構造も予測が可能である。両者で最も顕著に異なる部分は、サチライシンBPN'のSer(161)-Ser(162)-Ser(163)-Thr(164)に相当する部分がエラスターゼでは欠失していることである。この部分はサチライシンBPN'の基質特異性に関してP1ポケットに関係のある部分である。サチライシンBPN'と殆ど同じサチライシンEを材料として、蛋白質工学的にこの4アミノ酸の欠失体を作成して、合成基質、ならびにエラスチンに対する活性を調べた。その結果、変異サチライシンEがある程度エラスターゼ様に変化することが判明した。
|
-
[Publications] H.Takagi,S.Arafuka,M.Inouye,M.Yamasaki: "The effect of amino acid deletion in subtilisin E,based on structural comparison with a microbial alkaline elastase,on its substrate specificity and catalysis" J.Biochem.111. 584-588 (1992)
-
[Publications] H.Takagi,M.Kondou,T.Hisatsuka,S.Nakamori,M.Yamasaki: "Effects of an alkaline elastase from an alkalophilic Bacillus strain on the tenderization of beef meat" J.Agric.Food Chem.40. 2364-2368 (1992)
-
[Publications] H.Takagi,H.Matsuzawa,T.Ohta,M.Yamasaki,M.Inouye: "Studies on the structure and function of subtilisin E by protein engineering" Ann.N.Y.Acad.Sci.30. 52-59 (1992)