1991 Fiscal Year Annual Research Report
農地、とくに水田の水収支パタ-ンの地域生態的評価に関する研究
Project/Area Number |
03556029
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
梅田 安治 北海道大学, 農学部, 教授 (90001411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長沢 徹明 北海道大学, 農学部, 講師 (30002067)
中曽根 英雄 茨城大学, 農学部, 助教授 (70015783)
豊田 勝 新潟大学, 農学部, 教授 (50018785)
黒田 正治 九州大学, 農学部, 教授 (50039319)
鈴木 光剛 筑波大学, 農林工学系, 教授 (40018528)
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Keywords | 農地流域 / 水田 / 水収支パタ-ン / 水管理 / 用水反復利用 / 水質 / 土地利用 / 地域生態系 |
Research Abstract |
本研究は、農村地域での水利用・水管理手法が、地域生態系へおよぼす影響を評価しようとするものである。本年度は、立地条件の異なる農業流域を事例として調査検討を進め、以下の知見を得た。 1.嘉瀬川水系;低平地クリ-ク水田地帯の大部分は、平均海水面と同程度の標高である。従って、用水管理は排水条件に大きく影響される。またクリ-クを利用した用水の反復利用は、用水を有効利用する一方で水質の劣化をまねくことにもなるため、可能な限り外部からの取水を増加させることが望ましい。 2.那珂川水系;流域の水需要を総合的に分析する「複合タンクモデルによる広域水収支解析」手法では、対象域を単位ブロックに分割することによって河川流量が求められ、土地利用別にタンクを設置することで農地の影響が推定できる。しかし、ブロックの分割方法や灌漑・非灌漑期の別が誤差に影響することが明らかになった。 3.信濃川水系;研究対象とした刈谷田川は、その自流量が十分でなく、夏期には殆ど全量を刈谷田川右岸地区で取水している。厳しい水利用のなかでの地域生態系の特質を明らかにするため、水田水管理と反復用水量を検討した。同時に水循環過程での水質変化を追跡調査し、地域環境での水田の位置付けを明らかにした。 4.石狩川水系;研究対象とした恵岱別川地区は、恵岱別ダムを水源とする受益地区である。ダムの有効貯水量は大きく、取水量に余裕があることから、計画上反復利用率は小さなものであった。しかし近年、還元量が増大するに伴い反復利用率も高まってきた。これにより、下流での水温上昇効果がある反面、水質面での劣化がみられるなど、地域生態系を保全する水利用・管理の必要性を明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 黒田 正治: "河川中流域における取水堰間の流水構造" 農業土木学会九州支部研究発表講演集. 72. 207-210 (1991)
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[Publications] 黒田 正治: "低平地クリ-ク水田地帯における用水配分の特徴と水質" 農業土木学会九州支部研究発表講演集. 72. 231-234 (1991)
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[Publications] 豊田 勝: "水田用水の送水組織と管理用水量、環元水量との関係" 農業土木学会京都支部研究発表会講演集. 48. 114-115 (1991)
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[Publications] 若杉 和彦: "広域用水地域における河川流出解析法とその精度ータンクモデルによる単位ブロック分割との関係を中心としてー" 農業土木学会関東支部研究発表会講演集. 42. 68-70 (1991)
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[Publications] 長沢 徹明: "農林地流域河川の浮流土砂流送挙動(III)ー融雪期の浮流土砂流送特性についてー" 平成3年度農業土木学会大会講演要旨集. 556-557 (1991)