1992 Fiscal Year Annual Research Report
新しい抗高血圧薬の開発:血管内皮由来弛緩因子前駆体としてのL-アルギニンと誘導体
Project/Area Number |
03557012
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中木 敏夫 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30164148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
惣中 一郎 味の素株式会社, 中央研究所, 研究員
鈴木 洋通 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (80129494)
猿田 享男 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (70051571)
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Keywords | L-アルギニン / 抗高血圧薬 / 本態性高血圧症 / 原発性アルドステロン症 / 腎血管性高血圧症 / 内皮 / 一酸化窒素 / 血漿cGMP |
Research Abstract |
L-アルギニン静注により本態性高血圧患者の平均血圧は低下し、心拍出量は増加し、全末梢血管抵抗は減少した。通常見られる低血圧により二次的に生じるカテコラミン増加が見られなかった。L-アルギニン静注により、血漿レニン活性は変化しなかったにもかかわらず、アルドステロンは有意に抑制された。アルギニンバゾプレシンと心房利尿ペプチドは有意に増加し、静注停止後30分でも有意に高値を示した。血漿cyclic GMPおよびL-シトルリンは有意に増加した。L-アルギニン静注により尿中NO_2/NO_3排泄量は増加したが、静注停止後、尿中NO_2/NO_3排泄量は元のレベルに戻った。 二次性高血圧の患者において、L-アルギニン静注により平均血圧は低下し、心拍出量は増加した。平均血均および心拍出量より算出される全末梢血管抵抗は減少した。腎血管性高血圧症では、L-アルギニン静注により血漿レニン活性はやや増加した。血漿レニン活性がやや増加したにもかかわらず、アルドステロンは有意に抑制された。L-アルギニン静注により尿中NO_2/NO_3排泄量は増加したが、静注停止後、尿中NO_2/NO_3排泄量は元のレベルに戻った。以上のL-アルギニン投与はすべて患者の同意を得た後に行った。従来より、原発性アルドステロン症では血管病変はわずかであるのに対し、腎血管高血圧症では血管病変は重篤であるとされた。しかし、L-アルギニン静注によるNO遊離は同程度であると推定された。
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[Publications] Hishikawa,K.: "Transmural pressure inhibits nitric oxide release from human endothelial cells" Eur.J.Pharmacol.215. 329-331 (1992)
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[Publications] Hishikawa,K.: "L-arginine as an antihypertensive agent" J.Cardiovasc.Pharmacol.20. S196-S197 (1992)
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[Publications] Suzuki,H.: "Increases in NO_2-/NO_3- excreation in the urine as an indicator of the release of endothelium-derived relaxing factor during elevation of blood pressure" Clin.Sci.82. 631-634 (1992)
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[Publications] Hishikawa,K.: "Role of L-arginine-NO pathway in hypertension" J.Hypertension. (1993)