1991 Fiscal Year Annual Research Report
パラフィン切片の蛍光画像解析による定量的がん細胞判定法の試作開発研究
Project/Area Number |
03557019
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
芦原 司 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (30079719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 英一 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (50186714)
村田 晋一 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (20229991)
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Keywords | 画像解析 / 癌細胞判定法 / 核DNA蛍光 / 核異型度 / 悪性度 / 判別分析 / 癌細胞 / 顕微測光法 |
Research Abstract |
癌の病理学的顕微鏡診断は決定的な最終診断として、癌の臨床の基盤である。本研究はこのための補助手段として、パラフィン切片に核DNA蛍光画像解析を応用した、細胞単位の良・悪性判定と異型度評価の客観的方法を試作開発することを目的として行っている。初年度の成果は次の通りである。1.解析装置:自動ステ-ジ結合型落射蛍光顕宝測光装置、白黒TVカメラ、画像処理装置、マイコン、ワ-クステ-ション、写真撮影装置、無停電電源を結合したシステムを作り、安定した機能を確立した。蛍光染色標本上の個々の細胞位置を繰り返し走査して、位相差観察、画像解析、顕微多重測光、通常染色の透過光観察などを同一細胞で行える。感度・精度の優れた冷却的CCDカメラを購入したので、従来のTVカメラとの実用性を比較している。2.ソフト:従来BASICとCの言語で組み上げたものを、性能向上のためCに書き換えつつある。核外形の画像解析、DNA蛍光濃度の数理解析、それらの多変量解析と判別分析、濃度分布のFFT解析などによる良・悪性判定法を、系統的に行う解析システムを一応確立した。人工知能技法による良・悪性判定法は作成中である。3.解析法:パラフィン切片を2枚薄切し、HE標本の観察に対応させて、DNA蛍光染色標本の核片を解析する方法で、実用的と判断している。4.解析結果:ヒト胃・大腸癌を中心に約180症例解析した。これらの膨大なデ-タ解析を多角的に行っている。1症例の解析細胞数は癌細胞30、上皮細胞30、線維芽細胞20、リンパ球20で、正常細胞を対照にしたデ-タ解析の基準化を図っている。その結果、細胞単位の癌細胞判定率は、大多数例で約80%を得ている。5.考察:解析症例数を増やしつつ、解析法とソフトの向上を図りたい。フィ-ルドテスト・モデルの試作が、業者の昨春からの経営困難の事情で大幅に遅れているのは残念である。
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Research Products
(16 results)
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[Publications] 村田 晋一: "甲状腺の腺腫様過形成と腫瘍の細胞学的特性 ーDNA顕微蛍光測光法とイメ-ジサイトメトリ-を用いてー" 京都府立医科大学雑誌. 100. 311-331 (1991)
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[Publications] 中田 雅支,他: "硫酸ペプロマイシンによるDNA切断作用の検討 ー非放射性in situニック・トランスレ-ション法を用いてー" 癌と化学療法. 18. 383-386 (1991)
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[Publications] 芦原 司,他: "パラフィン切片の蛍光画像解析に基づく定量的良・悪性 判定法の開発研究" 日本癌学会総会記事(第50回総会・東京). 50. 164- (1991)
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[Publications] 芦原 司,他: "癌の顕微鏡形態診断の客観化と自動化" 第23回日本医学界総会会誌[1]1991・京都. 114-115 (1991)
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[Publications] 楠崎 克之,他: "悪性骨軟部腫瘍のDNAプロディ・パタ-ンと生命予後" KARKINOS. 4. 887-894 (1991)
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[Publications] 芦原 司,他: "核DNA量からみた癌の生物学的特性と予後 総論-基礎の立場から" KIRKINOS. 4. 773-781 (1991)
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[Publications] Urata,Y.et al.: "From cytofluorometry to fluorescence image analysis" Acta Histochem.Cytochem.24. 367-374 (1991)
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[Publications] Hosokawa,Y.et al.: "Pleomorphic Xanthoastrocytoma" Cancer. 68. 853-859 (1991)
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[Publications] 芦原 司,他: "癌細胞核DNA:核内DNA量とploidy解析 ー顕微測光法による研究ー" 肝胆膵. 23. 557-564 (1991)
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[Publications] 橋本 敏和,他: "顕微蛍光測光法に基づくヒト大腸癌の細胞増殖動態解析 ー臨床・病理学的所見との対比ー" 日本外科学会雑誌.
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[Publications] 安住 有史,他: "核DNA(核内DNAのploidy解析):膵臓癌" 肝胆膵.
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[Publications] 小西 英一: "ラット初代培養肝細胞を用いた多倍体細胞の細胞周期解析 ー自動ステ-ジ結合型顕微蛍光測光装置を応用してー" 京都府立医科大学雑誌. 101. 259-269 (1992)
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[Publications] Kusuzaki,K.et al.: "Recent Advances in Musculoskeletal Oncology:(分担・共著),Assessment of malignancy of bone and soft tissue tumors,using DNA cytofluorometry" Springer-Verlag, (1992)
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[Publications] 香川 恵造,他: "取り扱い規約に沿った腫瘍鑑別診断アトラス:肝臓(奥平雅彦、水本龍二、谷川久一編集)、(分担・共著)5-b.異型性の客観的評価-DNA定量" 文光堂, 4 (1991)
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[Publications] 芦原 司,他: "老化とは:老化時計と病気 ((財)京都SKYセンタ-編集)" 京都府, 50 (1991)
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[Publications] 芦原 司,他: "咬合の生涯維持 (分担・共著)骨細胞のライフサイクルと加齢変化ー全身主要臓器の細胞核DNA定量の観点からー" クインテッセンス出版, 11 (1992)