1992 Fiscal Year Annual Research Report
赤痢菌の病原性研究を基礎にした分子遺伝学的手技による赤痢弱毒生菌ワクチンの試作
Project/Area Number |
03557022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉野 昌之介 東京大学, 医科学研究所, 教授 (80012714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹川 千尋 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (70114494)
檀原 宏文 北里大学, 薬学部, 教授 (40114558)
成内 秀雄 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10012741)
嶋田 裕之 東京医科大学, 教授 (60113487)
高阪 精夫 予研, つくば霊長類センター, 室長 (80072924)
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Keywords | 赤痢菌 / 病原性 / ビルレンス / 組換えDNA / 細胞侵入性 / ワクチン / 分子遺伝学 |
Research Abstract |
吉川代表者、笹川担者およびその共同研究者は病原細菌学的技術の他に組換えDNA技術などを援用して、赤痢菌の細胞侵入性に係わる大プラスミドおよび染色体上にあるビルレンス遺伝子の解析を行い、細胞侵入性、細胞内増殖と拡散、隣接細胞への伝播、これら遺伝子の発現調節機構、環境条件の変化に対する適応機構などに関与し、病原性発現に必須の数拾に及ぶ遺伝子が存在することを明らかにした。本プロジェクトの目的はこれらの知見にもとづき弱毒生菌ワクチン株としてふさわしいと考えられるVirG遺伝子とthyA遺伝子のダブル欠失変異株を作成し、サルを用いてその安全性と有効性を確認するとともに、病理学的および免疫学的検査により安全性と有効性をより確実にし、使用ワクチン株の分子遺伝学的解析によりワクチン株の信頼性をより高めることである。初年度に引つづき今年度はカニクイザルを用いた安全性と有効性の実験をおこなったが、初年度の実験においてワクチン投与のためにワクチン投与群のサルに予想以上のストレスを与えたため、ワクチンとは関係なく一般状態が悪化したため、データの信頼度が低下したことについて根本的な改善策を講じたので、結果の信頼度は著しく向上した。例えば最終実験(のべ4回目)では3〜4X10^<10>のワクチン株投与3回で全身状態や便の性状がワクチン非投与群とほぼ同じであることが示され、強毒菌チャレンジの結果、ワクチン投与群にも発症することがあり、ワクチン非投与群にも健常なものがいたが、総合的に判定すれば安全かつ有効と推定される結果であった。これら実験例について病理学的、免疫学的検査を行った。最終データはまた出ていないが、免疫学的検査により、ワクチン投与群で非発症例に抗赤痢菌抗体の著明な上昇が観察されるなど興味ある結果が出てきている。
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