1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03557025
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
布上 董 九州大学, 医療技術短期大学部, 教授 (20038649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅村 創 九州大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (90136432)
梅根 健一 九州大学, 医学部, 助教授 (70127984)
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Keywords | パルボウイルスB19 / 抗原エピト-プ / 合成ペプチド / ELISA |
Research Abstract |
1.合成ペプチド抗原:1991年にスエ-デンからB19ウイルスのVP2領域のアミノ酸284-307をサイクライズした抗原ペプチド(JB50)が報告された。本研究前に、我々はこの部位のリニアのペプチド(P60)およびその断片の抗原性をELISAでみたところ、短い断片にすると抗原性が発揮されない現象を経験していた。そこで合成ペプチドのサイズを変え、VP2全領域の合成ペプチドについて再検討したところ、あらたに、強い抗原性を発揮するペプチド(複数)を発見した。ペプチドがサイズによって抗原性を変えるのは、溶解液中での立体構造に起因するといわれるが、その法則性は不明である。新ペプチドには機能的に、中和抗体に対応する抗原エピト-プと想定されるものがある。中和に関する部位は抗原性が強くないとも言われているので、今回の発見は貴重な進展である(未発表デ-タ)。現在、新しいB19抗原ペプチドの機能と、ヒト血清(中の抗体)に対する反応性を検討しており、次年度の最も重要な継続的検討事項としている。とくに機能の解決は、単に検査のための抗原性の意義に留まらず、将来のワクチンの基礎につながる大きな意義がある。 2.野生株の抗原部位は安定であることを前提に抗原ペプチドを選択する。いくつかの野生株のP60相当部位のDNAシ-ケンスはアミノ酸レベルでの変異を起こしている株がなかった。新しい抗原ペプチド相当部位の安定性の検討はこれからの課題である。数種類のペプチドの中から最良のものを選択し、その部位を遺伝子工学的にB19抗原蛋白を作製する目処がたった。 3.赤芽球系継代細胞で、B19ウイルス接種量を超えて増殖する系はまだ見いだしていない。 4.デナシスは特に1、2の作業にきわめて有用であるが、ペプチドの立体構造解析にはまだ不十分である。
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[Publications] Umene K & Nunoue T: "Genetic diversity of human parvovirus B19 determined using a set of restriction endonucleases recognizing four or five base pairs and partial nucleotide sequencing." J gen Virol. 72. 1997-2001 (1991)
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[Publications] 布上 董: "伝染性紅斑とhuman parvovirus B19" 小児医学. 24. 697-711 (1991)
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[Publications] 布上 董: "ヒトパルボウイルス関連疾患の遺伝子診断" 日本臨床. (1992)
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[Publications] 布上 董: "医科学大事典補遺巻10" 講談社,
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[Publications] 布上 董: "周産(生)期の感染と免疫" 南江堂, (1992)