1991 Fiscal Year Annual Research Report
有限要素法による頭部外傷の解析とその法医鑑定への応用
Project/Area Number |
03557031
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤原 敏 神戸大学, 医学部, 助教授 (20173487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 順子 神戸大学, 医学部, 助手 (40030887)
塚本 康夫 神戸大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (30031149)
柳田 泰義 神戸大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (50031373)
龍野 嘉紹 神戸大学, 医学部, 教授 (80030831)
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Keywords | 頭部外傷 / 有限要素法 / 脳挫傷 / DAI / パ-ソナルコンピュ-タ / 打撲 / 転倒 / 剪断ひずみ |
Research Abstract |
1.脳および頭蓋の有限要素モデル 当初から問題になっていた事に、脳のモデル化がある。脳は先行研究において明らかにされているように、物理的特性がほぼ水に近い物体と考えられる。これを数式に表した場合、数値上、0、5と解くことが不可能な数値を用いなければならず、これをあえて解くためには作意的に0、49などの数値を用いなければならず、そのため計算上の結果が事実を再現するのかどうかが大きな問題となる。また、頭蓋の有限要素モデルを構築することは比較的容易ではあるが、厳密なモデルを構築するには、頭蓋縫合を無視するわけにはいかない。さらに、頭蓋縫合は年齢によってその性状に差異を認めるものであるために、すべての年齢において一定の状態を示すものとは限らない。以上の問題点の解決のために、実際例における種々の打撃条件下で生じた頭部外傷の詳細や、脳および頭蓋の詳細な物理的特性を知ることが必要と考えられた。そこで、これらを検討して構築モデルの完成を目指している。 2.実際例における頭部外傷の検討 実際の法医解剖における種々の打撃条件下での脳および頭蓋の病理学検査を行った結果、以下の事がわかった。(1)脳挫傷打撲では、一般に打撃側に著明な脳挫傷を生じることが多いが、このことは、ハンマ-、バット等ある程度の重量を有する鈍体による打撃の場合に顕著であり、加害者の手拳による打撃の場合には脳挫傷が比較的軽度であることが多く、また必ずしもcoup contusionの形態をとらない傾向を認めた。転倒では、頭部を打撃する路面等の性状にかかわりなく殆どの例で著明なcontrecoup contusionを生じていた。(2)頭蓋骨折打撲では一般に陥没ないし粉砕骨折が多かったが、手拳の場合には骨折を伴っていなかった。転倒では多くの例で線状骨折が認められた。
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