1991 Fiscal Year Annual Research Report
多ポイント近赤外測光法による非侵襲的脳血液量・酸素飽和度定量的測定法の開発
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03557046
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
吉岡 博 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (50128724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 宏一 大塚電子株式会社, 部長
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Keywords | 近赤外光 / 多ポイント法 / 脳血液量 / 酸素飽和度測定 / 非侵襲的測定法 / 新生児 |
Research Abstract |
本年度は、まず、最近我々が特許を得た多ポイント方式を使用し、脳血液最や酸素飽和度を定量的に測定できる近赤外反射測光装置を試作した。この時、705.810.880nmの3波長の発光ダイオ-ドを使用しているが、最初は、外国でも開発中の装置と同様、ラットの低酸素実験により得られた。それぞれの波長に対する係数を酸素飽和度を求める演算に用いていた。ところが、これによってまずチアノ-ゼ型心疾患であるファロ-四徴症新生児の脳血液酸素飽和度を測定したところ、77%であり、これは患児の動脈血酸素飽和度(50-60%)より高値であったので、ラット脳における脳組織のバックグラウンドがヒト新生児と異なることが見出された。そこで、その後、死亡直後の新生児3例において脳血液量や酸素飽和度を測定したところ、やはり脳酸素飽和度は0%になっているべきところが、それぞれの症例で44.2%45.6%43%を示していた。そこで、そのデ-タを使って、装置の酸素飽和度の演算式をヒト新生児に当てはまるように修正した。次に、装置の正確さの決め手となるのはプロ-ブの頭部への固定法であるので、本年度はプロ-ブを固定する方法の工夫を行なった。当初は黒色ゴム製バンドで頭部に固定するよう設計していたが、それを用いて正常成熟新生児の測定を多数行なっている内に、数値は安定するものの、その基本となるフォトンのカウント数にばらつきがみられ、これがやはり固定の調子に影響されていることが判明した。そこで、プロ-ブ自体が頭部に接する周辺だけを元通りゴム製の固定パ-ツとし、それを弾性包帯及びテ-プで固定したところ、光の漏れがない、信頼し得るデ-タが得られることが判明した。これにより2人の患者の状態や1人の患者の非連続の2回の測定時点の状態を定量的に比較できる装置が一応準備できたと考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yoshioka H,Chance B,Papadopoulos MD,Sawada T: "Observation of cerebral hemodynamics and oxygenation in sick neonates by near-infrared spectroscopy" Brain Dysfunction. 4. 28-31 (1991)
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[Publications] 吉岡 博,Papadopoulos MD,Younkin DP,Chance B,光藤 伸人,沢田 淳: "胎児・新生児の脳障害予防のための病態解析:代謝動態" 脳と発達. 24. 159-163 (1992)
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[Publications] Iino S,Yoshika H,Osamura T,Goma H,Okano S,Sawada T,Kusunoki T: "Chronic cerebral lesions of mice following neonatal severe hemorrhagic hypoxic-ischemic enephalopathy" Brain Dysfunction. (1992)