1991 Fiscal Year Annual Research Report
新しい動脈塞栓物質の研究:高吸水性ポリマ-を素材とした瞬時完全動脈塞栓物質
Project/Area Number |
03557049
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀 信一 大阪大学, 医学部, 講師 (50135711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 仁信 大阪大学, 医学部, 講師 (00116071)
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Keywords | 塞栓物質 / 動脈塞栓術 / 動静脈奇形 / 高吸水性樹脂 |
Research Abstract |
高吸水性ポリマ-の物性実験を行い、塞栓物質として臨床使用するための基礎デ-タを得た。方法は、プラスチック血管モデルを作製し、生理的食塩水の定常流を流し、これに油性造影剤と高吸水性ポリマ-の懸濁液を注入した。実験結果よりスミカゲルの大きさ、量、懸濁液の濃度の調整により、塞栓部位、塞栓効果に調節を行うことができると考えられた。血流遮断に必要なスミカゲルの量は極めて微量で、塞栓材料としての長所であった。接着性がなく、カテ-テルの閉塞をおこすことはなかった。また、塞栓を来した部位にはリピオド-ルが残留することが認められ、塞栓部位の確認が容易に行える事が確かめられた。これらの性質は臨床使用されている塞栓物質よりも優れたものである。人血清でも生理的食塩水と同じ吸水能を示すことを確認し、血管内においても同様の物性をもつものと考えられた。滅菌方法についても確立した。上述の結果について日本医学放射線学会に投稿し、論文掲載の予定である。本物質の欠点として明らかになったのは、そのゲル強度が低く、血流の速い部位では塞栓効果をもたない恐れがあることであった。そのため現在、血管内で変形しない他の種類の高吸水性ポリマ-についても物性実験を追加し、この物質を加えることにより欠点を補うことができると推測している。 現在、動物実験を行っている。実験の目的は、当初の計画通りラットの大動脈にカテ-テルを留置し塞栓効果を調べている。同時に組織標本から塞栓物質の到達範囲の証明を行い、塞栓物質の長期停滞に伴う組織反応を検索中である。結果については平成4年中に報告できると考えている。動物実験で組織毒性がないことが証明され次第、臨床使用の予定で、脳動静脈瘻と固形腫瘍の塞栓術に用いる計画である。
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Research Products
(1 results)