1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03557052
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
筏 義人 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (00025909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高沢 弘明 グンゼ(株), 京都研究所・メディカル研究室, 室長
田畑 泰彦 京都大学, 生体医療工学研究センター, 助手 (50211371)
林 壽郎 京都大学, 生体医療工学研究センター, 助教授 (90026089)
前谷 俊三 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (10115933)
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Keywords | 分解吸収性材料 / 機能細胞 / 細胞移植 / 免疫反応 |
Research Abstract |
前年度においては、分解吸収性の高分子成型体上で機能細胞を効率よく培養する条件について検討した。本年度は、機能細胞を付着させた成形体を動物内に埋め込み、細胞が生存できる条件などを、ウサギの肝細胞を用いて調べた。 まず、肝組織が生着するかどうかを調べるため、細胞を分散させずに、細刻した肝臓をポリエチレンテレフタレート(PET)成形体内に挿入し、ウサギの腹腔内に自家移植した。この結果、埋め込み約2週間後から炎症細胞が見られるようになり、埋め込み3週間後では肝組織はほとんで存在しない状態となった。これは、埋め込んだ肝組織内部に活動する血管が通っていないために、外部から酸素や栄養などが浸透しにくく、その結果、細胞が壊死したものと思われる。 次に、分散させた肝細胞をPET成形体内に挿入し、自家移植と同種移植を行った。埋め込み1ヵ月後に観察したところ、自家移植したものでは、炎症も低く、肝細胞塊が成形体内で形態を保って生存していたのに対し、同種移植したものでは、肝細胞の周囲に炎症系の細胞が多く認められ、拒絶反応の起こっているのがわかった。しかし、同種移植でも免疫抑制剤を投与したものでは炎症はほとんど見られず、肝細胞が形態を保っていた。 以上の結果から、機能細胞を分散させて自家移植、および免疫抑制剤を投与して同種移植したものでは、細胞が生体内で生存できることがわかった。今後は、動物内に埋め込んだ細胞の増殖性および機能性の維持について検討する予定である。
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