1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03557052
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
筏 義人 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (00025909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高沢 弘明 グンゼ(株)京都研究所, メディカル研究室, 室長
田畑 泰彦 京都大学, 生体医療工学研究センター, 助手 (50211371)
林 寿郎 京都大学, 生体医療工学研究センター, 助教授 (90026089)
前谷 俊三 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (10115933)
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Keywords | 組織再生 / 生体内分解吸収性材料 / コラーゲン / 軟骨 / 繊維芽細胞増殖因子 / 血管新生 / ヌードマウス |
Research Abstract |
本研究の重要な問題点は、高分子成形体上で機能細胞が増殖するとともに、その機能を発現し、特有の組織を再生させることである。本年度は、動物内埋込み実験を行い、組織再生能について検討した。高分子成形体にはコラーゲンを、再生組織には軟骨を用いた。また、埋込み時の免疫拒絶反応を回避するために、免疫不全動物であるヌードマウスを用いた。 まず、ラットの肋軟骨からコラーゲナーゼ処理によって軟骨細胞を分離した。この軟骨細胞はin vitroの培養系においては、1ヵ月間経過しても軟骨組織を形成することはなかった。これに対して、この軟骨細胞をコラーゲンスポンジに播種し、ヌードマウスに埋込んだところ、1ヵ月後において、一部ではあるが、軟骨組織を形成していることがわかった。軟骨組織の確認は軟骨プロテオグリカンを組織学的に染色することで評価した。 次に、通常の軟骨組織には血管が存在しないが、組織の早期再生には血管が必須であると考え、コラーゲンスポンジを血管新生因子である塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)に含浸した。この結果、わずか1週間後において軟骨プロテオグリカンが生成し、1ヵ月後では、ほぼすべての軟骨細胞が軟骨組織に分化していることがわかった。bFGFを使用しない場合に比べ、血管が多く見られたので、新生した血管が軟骨組織への分化に寄与していると考えられる。ただし、軟骨組織に血管が存在する場合、軟骨が骨化するとの報告もあるため、より長期の埋込み実験が必要だと思われる。
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