1993 Fiscal Year Annual Research Report
増殖因子受容体を標的とする新しいDDSの開発と実用化の試み
Project/Area Number |
03557053
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
清水 信義 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50162706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 正己 実中研, 大塚製薬, 顧問
蒲生 忍 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90122308)
奥 直人 静岡大学, 薬学部, 助教授 (10167322)
伊藤 文昭 摂南大学, 薬学部, 教授 (80111764)
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Keywords | 上皮増殖因子レセプター(EGFR) / モノクローナル抗体(B4G7) / ドラッグデリバリー・システム(DDS) / 遺伝子導入 / 接合体 / イムノトキシン / イムノジーン / 扁平上皮癌 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、EGFレセプター(EGFR)に対するモノクローナル抗体B4G7と毒性蛋白質Geloninの接合体が、イムノトキシンとして扁平上皮癌細胞のターゲット療法に有効であることを示してきた。今回、このB4G7抗体にポリリジンを接合し、さらに遺伝子DNAをアフィニテイー結合させた複合体“イムノジーン"を用いて、EGFRを介する遺伝子導入と細胞内での発現に成功した。 モノクローナル抗体B4G7とポリリジンは、それぞれSPDPおよびイミノチオレインで活性化しジスルフィド結合させて接合体を作製した。この接合体は遺伝子DNA(CAT:クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)と定量的にアフィニティー結合して抗体/DNA複合体を形成した。この複合体で癌細胞NAを24時間処理すると、CAT-DNAはEGFレセプターと結合しエンドサイトーシスによって細胞内に導入された。その結果、導入12時間後に細胞のCAT活性が観察され72時間まで上昇し続けた。CAT遺伝子の導入と発現は複合体に特異的で、抗体・ポリリジン・DNAの混合物では起らなかった。 モノクローナル抗体B4G7を利用する本遺伝子導入法は、カルシウム共沈法やエレクトロポレーション法と異なり、ほとんど細胞に損傷を与えない。また、EGFRを発現する細胞のみに特異的に遺伝子を導入することができる。さらに、ウイルスを利用する遺伝子導入法に付随するウイルスゲノムの持込みも皆無なので、極めて理想的な方法である。 今後は、癌抑制遺伝子やアンチセンス遺伝子などの発現、さらにヘルペスウイルスチロシンキナーゼとガンシクロビルの併用による殺細胞効果を検討し、臨床応用への可能性を探る。
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