1992 Fiscal Year Annual Research Report
腸管吸収能のPositron Emission Tomcgraphyによる評価の試み
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03557055
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千葉 敏雄 東北大学, 医学部附属病院・小児外科, 構師 (20171944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 正敏 東北大学サイクロトロンラジオアイソトープセンター, 核医学部, 助教授 (00125501)
林 富 東北大学, 医学部・小児外科, 助教授 (40125638)
大井 龍司 東北大学, 医学部・小児外科, 教授 (50004734)
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Keywords | PET / 小腸吸収能 / メチオニン / ガラクトース / 大腸吸収能 |
Research Abstract |
本年度PETを用いるアミノ酸吸収能評価の研究においてヒトでの正常パターンの検討は終了し,被吸収メチオニン(Met)の肝への集積はその立ち上がりが投与直後に急速で5-10分でプラトーに達することが明らかとなった。またヒト及び実験動物としてイヌを用いた基礎的検討からMetの小腸内投与法の差異(線量,比放射活性,被投与腸管長)による吸収パターンの相違を明らかにしえた。即ち吸収後の肝への集積立ち上がりは腸管吸収面積が大きいほど,また投与量が多いほど急速で一方比放射活性が低いほど立ち上がりは緩徐になってくることが判明した。これらの研究成果から,短腸症候群など各種の病態を有する患者のアミノ酸腸管吸収能を評価し得るより有用な投与法としては,これまでの方法に比較して投与線量を段階的に低下せしめついで比放射活性を下げてゆくことが望ましくこれにより腸管の全吸収面積・単位吸収面積あたりの吸収効率の差異をより正確に反映する投与法が確立されるものと考えられた。また正常パターンでみられる吸収のプラトーの高さは必ずしも吸収能評価の指標とはならないことが明らかになった点も重要である。以上交付申請書に記載した研究目的・実施計画については実際の臨床応用例数がいまだ少い点を除けばほぼ予定通りの成果が得られたといえる。これに加えて本研究は次の2点で新たな展開をみせた。即ち(1)その代謝が近年注目されてきたガラクトースの陽電子放出核種を腸管内に投与することで得られる吸収パターンはMetとは異なり緩やかな立ちあがりのみでプラトーを欠くものであること,(2)既に明らかとなった小腸でのMet吸収に加えて大腸でもその吸収がPET画像上確認しえたこと,の2点である。これらの点も今までその報告をみない全く新しい知見であり,今後この方面の発展が大いに期待される。
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