1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03557080
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三條 大助 東北大学, 歯学部, 教授 (70013943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗和田 しづ子 東北大学, 歯学部, 助手 (60225274)
和泉 博之 東北大学, 歯学部, 助手 (20108541)
笹野 高嗣 東北大学, 歯学部, 講師 (10125560)
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Keywords | 歯痛の定量 / 視覚的アナログスケ-ル(VAS) / 軸索反射性血管拡張 / レ-ザ-ドプラ-血流計 / 感覚神経 |
Research Abstract |
痛みは疾患の診断、治療効果の判定などに必要不可欠な情報であるが、痛みは種々の因子に修飾されることから、痛みを客観的に評価することは困難とされてきた。痛みを伝達する感覚神経は、皮膚において軸索反射性に周囲組織の血管拡張を生じることが知られており、本研究では、軸索反射性血管拡張をパラメ-タ-として、痛みを客観的に測定する方法を確立することを目的としている。 また、本研究では、ヒト痛み感覚の測定方法として種々の分野でその有効性が報告されている視覚的アナログスケ-ル(VAS)を歯痛の定量的測定に応用した。 本年度は、まずVASの再現性と信頼性を確認するために、23-29歳のボランティア60名を対象に、総数956歯の電気刺激により誘発された実験的歯痛をVASを用い測定し、さらに臨床への応用として急性化膿性歯髄炎と診断された患者について、治療による歯痛の変化をVASを用い測定し、次の結果を得た。 1.10分後および1時間後に電気刺激を繰り返したところ、VASの再現性はパルプテスタ-の再現性と同程度に良好であった。 2.VASによる痛みの測定方法は、複数歯の痛みを同一スケ-ルに比較記入する方法が再現性において優れていた。 3.急性化膿性歯髄炎の患者で、治療による痛みの経時変化が定量的に測定された。 4.初診時の歯痛は、約2カ月にわたり記憶されていた。 以上より、VASは良好な再現性と信頼性を持ち、歯痛の定量的測定に有効な方法であることが確認された。 次に、レ-ザ-ドプラ-血流計を用いネコを使用した動物実験を行い、歯肉の電気刺激により、血圧が変動することなく、刺激側と同側の歯髄および歯肉の血流が増加する知見を得た。この血流増加は、感覚神経による軸索反射性血管拡張に由来することを現在確認している。 従って、ヒト口腔諸組織においても同様の現象が生じる可能性があり、今後、ヒトの電気刺激による痛み感覚をVASを用いて測定し、軸索反射による血流増加との相関を検討する予定である。
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[Publications] 栗和田 しづ子,笹野 高嗣,三條 大助: "歯痛の定量に関する研究" 日本歯科保存学雑誌. 34(6). 1755-1762 (1991)
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[Publications] T.Sasano,S.Kuriwada,D.Sanjo,H.Izumi,T.Tabata,K.Karita: "Acute response of periodontal ligament blood flow to external force application" Journal of Periodontal Research.
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[Publications] 笹野 高嗣,栗和田 しづ子,三條 大助: "歯根膜の血流動態に関する研究 第1報歯に加えた外力に対する歯根膜血流の変化" 日本歯科保存学雑誌.