1991 Fiscal Year Annual Research Report
1位及び6位フッ素化カルバペネム系抗生物質の効率的不斉合成
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03557093
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福本 圭一郎 東北大学, 薬学部, 教授 (50004586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 正隆 東北大学, 薬学部, 助教授 (00006339)
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Keywords | β-ラクタム / 抗生物質 / 不斉合成 / カルバペネム / 1-フロロカルバペネムム / 6-フロロカルバペネム / 含フッ素キラル合成素子 / チエナマイシン |
Research Abstract |
有機化合物にフッ素原子を導入すると、物性と共に生理作用において顕著な変化を生じることが知られている。一方カルバペネム系抗生物質は幅広い抗菌スペクトルと強力な抗菌作用とから次代の抗生物質として大いに期待されているが、その中で最も有望なチエナマイシンは生物化学的に又有機化学的に不安定で、単独では医薬品として開発できないことが明らかにされた。そこで我々が最近発明した、不斉炭素上にフッ素原子を持つキラル素子の製法と、立体選択的な1β-メチルカルバペネム系抗生物質の合成法を応用して、1位あるいは6位にフッ素原子を持つカルバペネム誘導体の不斉合成を行い、その抗菌作用を検討することを計画した。そこで不斉炭素上にフッ素原子を持つキラル素子を合成する目的で、キラルなフロロマロン酸半エステルに対するアルキル化を新たに検討した。この結果より高いジアステレオ選択的な合成を行うことが可能となった。今後これらキラル素子を原料に用いて、分子内1、3-双極子環化付加反応によって、選択的な不斉誘起を行い、1-フロロカルバペネムの合成を行う予定である。 一方、4-アセトキシβ-ラクタムに対してフロロマロン酸エステルを塩基条件下に作用させ、β-ラクタムの4位にフロロマロン酸単位を持つ化合物の定量的な合成に成功した。これより脱炭酸反応後、カルベン挿入反応あるいは分子内ウィティヒ反応等を利用して1位にフッ素原子を持つカルバペネム誘導体の合成を行う予定である。また上記反応成績体を共通の中間体として、1位にフッ素原子とアルキル基とを共に持つカルバペネム誘導体の合成についても検討を行っている。 以上のように1-フロロカルバペネム誘導体の合成を上記二法で行うことが可能となり、今後、6-フロロカルバペネム誘導体を含めて合成品の抗菌作用を検討する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Ihara: "Enantioselective Construction of Quaternary Stereogenic Centers Possessing a Fluoring a Fluorinc Atom" J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1. (1992)
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[Publications] M.Ihara: "Asymmetric Synthesis of Bioactive Natural Products and Related Compounds from chiral Propane-1,3-diols and Analogues" Elsevier(Amsterdam), 53 (1992)