1991 Fiscal Year Annual Research Report
医真菌細胞におけるCa^<2+>動態解析システムの開発と薬学的応用研究
Project/Area Number |
03557102
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安楽 泰宏 東京大学, 理学部, 教授 (20012643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂口 修一 奈良女子大学, 理学部, 助手 (20221997)
鈴木 孝仁 奈良女子大学, 理学部, 教授 (60144135)
飯田 秀利 基礎生物学研究所, 助手 (70124435)
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Keywords | カンジダ酵母 / 二形性 / 菌糸成長 / Ca^<2+> / fura-2 / エクオリン |
Research Abstract |
本年度、細胞内遊離Ca^<2+>濃度測定の基幹システムを設置し、その性能をパン酵母とカンジダ酵母に対してテストした。カンジダ酵母は病源性を有し、臓器移植手術などの免疫応答の低下した患者に重篤な感染症を引きおこす。この酵母は二形性菌であり、生育条件により酵母形と菌糸形の二形成変換を行う。多くの場合、カンジダ酵母は感染組識内で菌糸形をとり症状を発現する。本年度は菌糸形成におけるCa^<2+>の役割を明きらかにすることを試み、以下の実験を行った。まず、二形性変換にCa^<2+>が関与しているか否かを調べる目的で、カンジダ酵母を飢餓処理後N-アセチルグルコサミンを含む栄養培地に移して菌糸誘導を行ない、次の成果を得た。1)高濃度(>60mM)Ca^<2+>は酵母形の成長と阻害しないが菌糸形への変換を阻害した。2)EGTA添加により培地の遊離Ca^<2+>濃度を10nM以下にすると菌糸の成長が部分的に阻害され、Ca^<2+>の再添加により回復した。このことから、カンジダ酵母の菌糸形成過程にCa^<2+>が関与していることを認めた。続いて、菌糸成長時における細胞内遊離Ca^<2+>濃度の時間的空間的変動を2つの測定法を用いて解析する基礎研文を開始した。第一はCa^<2+>蛍光指示薬fura-2を用いた蛍光顕微鏡画像処理システムによる解析法であり、第二はCa^<2+>依存性発光タンパク質エクオリンのcDNAをカンジダ酵母内で発現させ、再生エクオリンの冷光を測定する解析法である。前者は個々の細胞の細胞内遊離Ca^<2+>濃度を測定することに適し、後者は細胞集団を対象とした細胞内遊離Ca^<2+>濃度の一過性変動を解析することができる。系統的なエレクトロポレ-ションの条件を検討した結果、Fura-2を高能率でカンジダ菌に導入する実験系を確立することができた。またエクオリンcDNAを導入するためのベクタ-系の開発を試み、有用な知見を得た。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nakajima-Shimada,J.,Iida,H.,Tsuji,F.I.,and Anraku,Y.: "Galactose-dependent expression of the recombinant Ca^<2+>-binding photoprotein aequorin in yeast" Biochemical and Biophysical Research Communication.174. 115-122 (1991)
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[Publications] Nakajima-Shimada,J.,Iida,H.,Tsuji,F.I.,and Anraku,Y.: "Monitoring of intracellular calcium in Saccharomyces cerevisiae with an apoaequorin cDNA expression system." proc.Natl.Acad.Sci.USA.88. 6878-6882 (1991)
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[Publications] Ohya,Y.,Umemoto,N.,Tanida,I.,Ohta,A.,Iida,H.,and Anraku,Y.: "Calcium-sensitive cls mutants of Saccharomyces cerevisiae showing a Pet^- phenotype are ascribable to defects of vacuolar membrane H^+-ATPase actiy." Journal of Biological Chemistry.266. 13971-13977 (1991)