1991 Fiscal Year Annual Research Report
血清中に含まれるBリンパ球特異的制御因子の単離とその免疫患への応用
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03557112
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 格 岡山大学, 薬学部, 教授 (20028848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 徳男 岡山大学, 薬学部, 助手 (30112642)
合田 栄一 岡山大学, 薬学部, 助教授 (20028814)
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Keywords | 牛胎児血清 / 不溶性β-シクロデキストリン / 抗SRBCPFC応答 / B細胞特異的抑制 / 低分子免疫抑制因子 |
Research Abstract |
これまで我々は、牛胎児血清(FCS)と不溶性ポリマ-β-シクロデキストリン(ポリマ-β-CD)をインキュベ-トし、β-CDの空洞内に包接されるゲスト分子を精製し、薄層クロマトグラフィ-(TLC)ならびにHPLCにて数種類の、免疫抑制活性画分と免疫賦活活性画分が存在することを明らかにしている。そして、そのうち特に免疫抑制活性の強いフタル酸誘導体を同定し、現在論文として投稿中である。 今回は上記知見に基づき、β-CDに包接される免疫修飾物質を単離、同定し、その免疫疾患への応用を目的に、さらに詳細な検討を行なった。(1)市販されている二種の不溶性ポリマ-β-CDを比較した。一つはβ-CDをエピクロルヒドリンで分子量10000以上に架橋された高重合体で、もう一つはβ-CDを固型球状の親水性アクリル樹脂担体に化学結合したものである。抗SRBC抗体応答抑制活性に関し、後者のポリマ-β-CDが優れていたので、その後の実験にはこれを用いた。(2)免疫抑制物質は1/20希釈FCSにポリマ-β-CD50mg/mlを添加し、振とう後、クロロホルム-メタノ-ル(2:1)で抽出するとき最も効率良く得られることが判明した。(3)抗SRBC PFC抑制活性を指標に、本物質の精製を試みた。即ち、シリカゲルクロマトグラフィ-、薄層クロマトグラフィ-、逆相HPLCを用いて、単一物質まで精製することが出来た。(4)本物質はT細胞依存性抗原に対する抗体応答を抑制したが、T細胞非依存性抗原に対するものは抑制しなかった。また、Con A応答に対し無影響であったが、LPS分裂応答は強く抑制した。この成績は本因子がB細胞特異的に抑制効果を発揮していることを示唆するものである。(5)本因子は、良好なFCSよりも不良なFCSの方に多量含まれていることが見いだされた。本物質は、ペプタイド、核酸の類ではなく、ある種の脂肪酸である可能性が示唆された。今後さらに構造決定まで行なう予定である。本因子はB細胞に対し、特異性を有する新しいタイプの免疫制御因子で、免疫疾患への応用が期待される。これらの成績に関しては論文作成中で近日投稿を予定している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Itaru Yamamoto,Eriko Miyai and Toshihiro Chiba: "The application of polymer β-cyclodextrin treated serum to immunology" J.Exp.Immunology. (1992)
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[Publications] Itaru Yamamoto,Izuru Suzuki and Eriko Miyai: "Purification of polymer β-cyclodextrin included compounds and their immunological activities" Agric.Biol.Chem,,. (1992)