1992 Fiscal Year Annual Research Report
血清中に含まれるBリンパ球特異的抑制因子の単離とその免疫疾患への応用
Project/Area Number |
03557112
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山本 格 岡山大学, 薬学部, 教授 (20028848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 徳男 岡山大学, 薬学部, 助手 (30112642)
合田 栄一 岡山大学, 薬学部, 助教授 (20028814)
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Keywords | ポリマーβ-シクロデキストリン / 牛胎児血清 / 免疫抑制物質 / コレステロール |
Research Abstract |
免疫系は、生体の防御機構として中心的役割を果たしており、その不全や調節異常は、癌、アレルギー、ウイルス疾患を始めとする各種感染症、あるいは自己免疫疾患など、今なお治療困難な疾病を誘発することが知られている。従来、上記免疫疾患に対し、免疫賦活剤や免疫抑制剤と呼ばれる薬物が治療効果を挙げている。しかしながら、重篤な副作用を示す例も多く、長期の使用に耐える薬剤は少ない。ところで、先に我々は、in vitroマウス脾細胞抗体産生系において、培地にβ-シクロデキストリン(β-CD)を添加することで、通常リンパ球の培養に必要な10%牛胎児血清(FCS)を用いなくとも1%の添加で最高の抗体応答の得られることを発見した。この条件でリンパ球を培養すると、悪いバッチのFCSも良好なバッチのFCS同様有効に利用出来ること、更には、これまでリンパ球の培養には決して使用出来なかった成牛血清(BS)も有効に使用できるようになる事を見出した。そこで、本研究ではβ-CDに包接されていると推測される血清中の免疫制御物質を同定し、その免疫疾患への応用を試みた。即ち、不溶性ポリマーβ-CDを用い、血清とインキュベート後両者を遠心分離し、処理血清についてはその抗体産生支持能を調べ、一方、ポリマーβ-DCの包接物質は有機溶媒で抽出後、単離・精製し、その免疫活性を調べた。その結果、FCSは良好、不良バッチの如何によらずポリマーβ-DCで処理されると全て良好なバッチに変化し、しかも、2%添加するだけで無処理の良好なFCFCS10%使用時と同等の抗体産生能を加えることが出来、また、リンパ球の性質にも変化は観察されていない。一方、包接物質に関しては、六種類の物質が単離され、その内免疫抑制活性を有するものの一つが構造解析された結果、コレステロールであることが判明した。更にもうひとつの活性の強い物質について現在解析を急いでいる。コレステロールは興味ある免疫学的性質を有する物質の一つであり、本物質代謝と免疫疾患の関連性について研究する必要がある。
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Research Products
(1 results)