1992 Fiscal Year Annual Research Report
癌抗原に対する免疫応答を利用した癌の検査診断法の開発
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03557114
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Research Institution | Aichi Cancer Center, Research Institute |
Principal Investigator |
神奈木 玲児 愛知県がんセンター, 研究所病理学第二部, 部長 (80161389)
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Keywords | 抗糖鎖抗体 / 抗イディオタイプ抗体 / Lc4抗原 / V領域遺伝子 / VH遺伝子 / Vλ遺伝子 |
Research Abstract |
ヒト抗糖鎖抗体に対する抗インディオタイプ抗体をもちいて患者血清を評価するために、まずヒト型抗糖鎖モノクローナル抗体の作製をこころみ、抗SM4s抗体と抗Lc4抗体の2種のヒト型抗糖鎖抗体を樹立した。Lc4抗原はしばしば癌細胞に発現され、抗Lc4抗体をコードするV領域遺伝子にはポリモルフィズムが少ないことから、抗Lc4抗体に対する抗イディオタイプ抗体を3種(G3,B3およびC5,いずれもIgG)樹立した。これを用いて患者血清を評価したところ、C5抗体の認識するC5イディオタイプは癌患者血清で対照群より統計学的に有意に高く、逆にG3抗体の認識するG3イディオタイプは癌患者血清で対照群より統計学的に有意に低かった。ヒト抗Lc4抗体は、VH領域がVH1.9III遺伝子に、Vλ領域がVλII.DS遺伝子にコードされているものがほとんどであった。VH1.9IIIとVλII.DS遺伝子との組み合わせは、Lc4抗原以外の抗原に対するヒト抗体にもひろく使われている。C5抗体の認識するC5イディオタイプは、このうち抗Lc4抗体に特異的で、狭い特異性を持っていた。一方、G3抗体の認識するG3イディオタイプは、このふたつの遺伝子でコードされた抗体であれば、ひろく非抗Lc4抗体とも反応する性質を持っていた。以上の成績は、担癌患者の体内では、癌細胞に多量に発現されたLc4抗原のために、VH1.9III遺伝子とVλII.DS遺伝子との組み合わせでコードされる抗体の大部分が、抗Lc4抗体の特異性を有するようになっている事を示唆する。一方、体内にこのような糖鎖抗原の異常発現を見ない非癌患者では、VH1.9III遺伝子とVλII.DS遺伝子との組み合わせは、Lc4抗原以外の抗原-おそらくは外来性の異物抗原-に対する抗体をコードするために使われていると考えられた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Miyake,M,他: "First establishment of a human monoclonal antibody directed to sulfated glycosphingolipids SM4s-Gal and SM4g,from a patient with lung cancer." Cancer Res.52(8). 2292-2297 (1992)
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[Publications] Kaneko,T,他: "Preparation of mouse-human chimeric antibody to fucosylated stage-specific embryonic antigen-1." J.Biochem.113. 114-117 (1993)
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[Publications] 原田 良策他: "「ヒト・単クローン抗体に対するイディオタイプ抗体の研究」" 医学研究. 62(1). 1-18 (1992)
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[Publications] 神奈木 玲児: "「糖鎖抗原に対する抗イディオタイプ抗体を用いた癌治療」" ONCOLOGIA. 25(5). 542-554 (1992)
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[Publications] 神奈木 玲児他: "「糖鎖に対するモノクローナル抗体」" 蛋白質・核酸・酵素. 37(11). 2026-2047 (1992)
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[Publications] 神奈木 玲児: "「糖鎖抗原と癌の診断」" 病院病理. 9(2). 96-102 (1992)
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[Publications] 神奈木 玲児: "「糖鎖の免疫工学」"糖鎖工学ー新しい生命科学"" 産業調査会事典出版センター、東京, 22 (1992)
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[Publications] 露岡 清隆他: "「糖鎖抗原と腫瘍免疫」"腫瘍免疫研究Update"" 中外医学社,東京, 18 (1992)