1991 Fiscal Year Annual Research Report
閃光光分解と氷包埋低温電子顕微鏡による生体反応の時間分解三次元構造解析
Project/Area Number |
03558028
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
豊島 近 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (70172210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥富 昭次 日本電子エンジニアリング, 機器開発部, 部長取締役
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Keywords | 閃光光分解 / 時間分解 / 三次元構造解析 / 低温電子顕微鏡法 / 氷包埋法 / caged物質 / 急速凍結法 |
Research Abstract |
本研究では、caged物質の閃光照射分解と、氷包埋低温電子顕微鏡法を組みあわせ、ミリ秒の時間分解能で生体高分子の三次元構造を解析する技術の開発を目標としている。本年度は、装置の設計・開発を行った。二の方法の最大の問題点は閃光照射に伴う温度上昇であり、その解決を最初の課題とした。そのために、レ-ザ-光を試料に対し低い角度で入射させて光路長をかせぎ、caged物質の変換率をおとすことなく、必要な照射エネルギ-を一割程度まで低減させた。また、通常の銅のグリッドに反射率の高い銀を蒸着させることによって、さらに半分にできた。しかるに、試料を直接支持するカ-ボン膜は入射光の約半分を吸収し熱に変えてしまうことがわかり、支持膜につくった孔以外のすべてを銀でおおうことにした。従って、膜孔の上に来た試料のみを観察することになる。この結果、温度上昇は1/30以下に抑えることができた。また、レ-ザ-光線の空間的不均一さは、試料の直前に拡散板を置くことで解決できた。以上の結果に基いて、装置を製作し、ミリ秒の分解能は問題なく得られることがわかった。熱的ダメ-ジの実際の検証には、カルシウムATPaseのチュ-ブ状結晶を用い、cagedATPの変換効率が5%程度の場合は問題がないことがわかった。しかし、これ以上の変換効率を達成することは、レ-ザ-のパルス幅がナノ秒で極めて短いため、熱伝導が期待できず、難しいことも判明した。 現在、ATPと反応できる状態のカルシウムATPaseの三次元微結晶を製作している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] C.Toyoshima: "Contrast transfer for frozen-hydrated specimens:II. Amplitude contrast at very low frequencies" Ultramicroscopy.
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[Publications] 豊島 近: "クライオ電顕による生体分子の構造観察" 生体の科学. 42. 625-630 (1991)