1992 Fiscal Year Annual Research Report
閃光光分解と氷包埋低温電子顕微鏡による生体反応の時間分解三次元構造解析
Project/Area Number |
03558028
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
豊島 近 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (70172210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥富 昭次 日本電子エンジニアリング, 機器開発部, 部長取締役(研究員)
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Keywords | 閃光光分解 / 氷胞埋法 / 低温電子顕微鏡法 / caged物質 / 時間分解 / 三次元構造 / 蛋白質結晶 / 膜蛋白質 |
Research Abstract |
本年度の研究は昨年度に開発した、急速凍結と閃光光分解を同期させる装置を実際に組み込んで、蛋白結晶に応用し、その適応性を調べることが目標であった。実験当初から、この方法の最大の問題点は閃光照射に伴う熱の発生であることは判っており、種々の工夫を凝らした。試料の支持膜に銀を使えば、反射率の点などで有利なことが昨年度の研究で判ったが、電子線を通さないためフォーカスが合わせられないという問題が生じる。このことは、しかし、多数の穴があいたタイプの支持膜(膜穴)を使い、電子線照射によって融けていく氷の縁でフォーカスを合わせることにより実用上さほど大きな問題にはならないことが判明した。一方、閃光の持続時間がナノ秒オーダーであり、短すぎて、熱伝導が期待できないこと大きな問題であり、ディレイタイムや励起の為のパルス間隔を広げてやること等を試みたが、いずれもさしたる改善は見られなかった。従って、これ以上の改善は難しく、これでも温度上昇が問題であれば、もっと、パルス持続時間の長いフラッシュランプの使用を再検討する必要があろう。 実際の試料としては、筋小胞体膜由来のカルシウムATPaseの三次元結晶をまず用いることにした。この結晶は再現性が悪かったが、色素カラムによる精製時にも少量の脂質を加えることと脂質の取扱いを注意することにより改善できた。この試料を用い、新しい凍結装置を用いて実際のテストを行ったところ、大きな温度上昇を伴わずに5%程度のATPの放出を期待できることが判り、低温電子顕微鏡法を用いて無染色で構造を観察することができた。しかし、この試料は三次元結晶であり、三次元構造の変化を見るのは困難なので(解析技術がまだ確立していないので)、チューブ上結晶の使用を検討している。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Chikashi TOYOSHIMA: "Contrast transfer for the frozen hydrated specimen.II:Amplitude contrast at very low frequencies" Ultramicroscopy. (1992)
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[Publications] Ayano SATO: "Two-dimensional crystallization of catalase on a monolayer film of poly(1-benzyl-L-histidine)spread at the air/water interface;" Biochim,Biophys.Acta. (1993)
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[Publications] Chikashi TOYOSHIMA: "Cryo-electron microscopy of the calcium ion pump in the sarcoplasmic reticulum membhrane" Nature. (1993)
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[Publications] 豊島 近: "膜蛋白質の電子線三次元構造解析" 蛋白質・核酸・酵素. (1993)