1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03610047
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
甲村 和三 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (40022371)
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Keywords | 目標志向態度 / 予期的事態 / 反応時間 / 時間評価 / 相関関係 |
Research Abstract |
人が刺激に素早く応答するには,構え(心的準備状態)が事前に形成される必要がある.それには刺激出現に対する確度の高い時間的予測が必要である.本研究の目的は,予期的事態における反応時間(RT)と時間評価(ET)の関係を吟味し,さらにRTの傾向から被験者の目標志向態度を類推し,それに基づくETの傾向の解釈を試みることである. 実験Iでは実験者の合図後,小光点が点灯されるまでの時間(foreperiodと称する)を種々変えて(1〜16秒の6種),先ず光刺激に対するRTを測定し,続いてそのforeperiodを標準とするETを再生法で測定する.foreperiodの長さ情報がない非予期的事態と各試行直前にそれが伝えられる予期的事態で測定を行う.実験IIではforeperiod12,16秒を選び,その間に2桁,4桁の数字の逆唱を負荷し,予期を弱めた事態で測定する.被験者は6名.試行回数は各foreperiodにつき20回である. 結果の概要:(1)RTは実験I,IIとも予期的事態で短く,変動も小さかった.ET僅かに予期的事態で長めで変動は小さい.予期可能な事態における結果であろう.また,予期的事態でのETは再生値というよりも作成値と見なして解釈すべきであろう.(2)RTとETの相関係数の個人別結果を見ると,正・負の相関が被験者間でも条件間でも混在し,一義的傾向を見出すのは因難であった.しかし,予期的事態で相関を示す結果が多く見られ,そこでは1,2秒の短にforeperiodでは正,16秒付近の長めのそれでは負相関を示す者が多かった.(3)実験IIでのRTとETは値も長く,方動も大きくなるが,予期的事態で相関関係が多く認められる点で実験Iと同様であつた.(4)これらの傾向は刺激出現までの‘待ち'時間としてforeperiodを考えるとモウとマダの志向態度の違いの表れと思われる.詳しい理由づけは資料を増やす今後の検討に委ねるが,次年度では当初予定の人々の時間観に関する調査的研究も鋭化進めたい.
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[Publications] 甲村 和三: "予期的事態における反応時間と時間評価の関係" 日本心理学会第56回大会発表論文集. (1992)
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[Publications] 甲村 和三: "心理的時間に関する実験的研究(13)" 名古屋工業大学紀要. 44. (1992)
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[Publications] Kazumi Kohmura: "Relation between reaction time and time estimation under the expectant situation." Perceptual & Motor Skills.