1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03610047
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
甲村 和三 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (40022371)
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Keywords | 目標志向態度 / 予期的事態 / 反応時間 / 時間評価 / 相関関係 / 時間体験 / 因子分析 / 因子得点 |
Research Abstract |
本研究の目的は,特に予期的事態における反応時間(RT)と時間評価(ET)の相関関係を実験的に吟味することである.また,併せて時間体験の因子分析的研究も行い,時間が意識される生活状況を分析した. 【実験研究】 従来はforeperiod(実験者の「ヨーイ」の合図後小光点が点灯されるまでの時間)を無課題の反応待機時間としたが,本研究では難度の違う逆唱課題をさせた.用いたforeperiodは12,16秒,負荷課題は2桁と4桁の数列逆唱である.被験者はforeperiod中に2桁あるいは4桁の逆唱を行い,課題終了を示す光刺激点灯に対して素早くスイッチを押しを行う(RT).続いてそのforeperiodを標準とする時間評価を再生法で測定する(ET).本実験も非予期的事態と,予期的事態で測定する.被験者は10名.試行回数は各foreperiodにつき20回である. 結果の概要: (1)RTは無課題時よりも僅かではあるが遅れ,変動もやや大きくなった.4桁逆唱時のRTは2桁時よりも長い.それに対してETは4桁時の方が短い. (2)これらの傾向は予期的事態と非予期的事態でほぼ同じであった. (3)個人別RTとETの相関係数をみると,予期事態で統計的に有意な相関係数を示す者が多かった.しかし,正負の符号が混在し,RT-ET間の一義的関係を推量することは困難であった. 【調査的研究】時間体験に関する40項目の調査とYG性格検査を実施した.因子分析により時間不安・将来展望・時間活用性・時間観と名付けた4因子を抽出した.4因子別の平均評定値プロフィールによる性差や性格型の違いを検討した.また,因子得点を指標に吟味した結果では,(1)性差がよく現れるのは将来展望と時間観の因子である,(2)性格型の違いが出たのが時間不安であり,特に不安定・不適応群において時間不安を共通因子とする傾向が強い,(3)時間活用性についてはD型(安定・適応・積極型)群で共通因子とする傾向が強いなどの結果が得られた.
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[Publications] 甲村 和三: "心理的時間に関する実験的研究(12)ー予期的事態における反応時間と時間評価の関係ー" 名古屋工業大学紀要. 43. 11-18 (1991)
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[Publications] 甲村 和三: "心理的時間に関する実験的研究(13)ー反応待ち時間中に挿入された課題の反応時間と時間評価に及ぼす効果ー" 名古屋工業大学紀要. 44. 11-18 (1992)
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[Publications] 甲村 和三: "目標志向態度と時間評価の関係についての研究" 平成4年度科学研究費補助金一般研究(C)研究成果報告書. 1-80 (1993)
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[Publications] 甲村 和三: "予期的事態における反応時間と時間評価の関係" 日本心理学会第56回大会発表論文集. 868- (1992)
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[Publications] 甲村 和三: "時間的態度とパーソナリティの関係" 日本心理学会第57回大会発表論文集. (1993)