1991 Fiscal Year Annual Research Report
海外帰国子女の学校適応に関する発達・臨床心理学的研究
Project/Area Number |
03610051
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
浅川 潔司 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (00136029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 雅文 兵庫教育大学, 学校教育センター, 助教授 (80153518)
夏野 良司 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (10198369)
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Keywords | 帰国子女 / 学校適応 / 学校適応感尺度 / 心理的距離地図 / 人間ー環境相互交流論 / 社会的地位 / アンカ-パ-ソン |
Research Abstract |
本年度に遂行された研究及びその結果については,以下にまとめるとおりであった。 1. 海外帰国子女の学級への適応 平成3年4月に帰国し小学校へ入学した帰国児童(6年生;2名,5年生;1名,3年生;2名,2年生;1名)及びその受け入れ学級の児童177名が本研究に被調査者として参加した。児童の人間関係や適応感を検討するために,児童用学校環境適応尺度と心理的距離地図(P.P.M)が用いられた。調査時期は,転入学後,2週目・4週目・2月目・3月目・5月目であり,計5回の調査が実施された。 その結果によると,対人関係においては,よりどころとなる人物(アンカ-パ-ソン)がどの帰国児童にも存在すること,友人は必ずしも固定的ではなく,転入後5ケ月間にかなりの変動があること,友人関係が調査時期を追って,複雑なネットワ-クを示すようになること,そして帰国児童の学級内での社会的地位も上昇傾向にあることがわかった。適応感尺度上の変化も,こうした変化が反映され,相対的に向上することが示された。こうした結果は,Wapnerらの人間・環境相互交流論の仮説に対応するものと考えられた。 2.帰国児童及びその母親への面接 上記の調査と平行して,平成3年7月と10月に当該の帰国児童とその母親を対象とし,それぞれ別個に面接を行なった。その面接内容は,被面接者の許可を得て録音された。この面接内容から,児童の多くが,比較的早期に適応することが推察された。また,母親が心配する内容は,学業や友人関係に集中することが伺えた。不適応と思われる児童は,1名であったが,それはP.P.M上でも特異なパタ-ンを示していた。
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[Publications] 和気 清(わけ きよむ),浅川 潔司: "帰国子女の学校適応に関する教育・心理学的研究" 異文化間教育学会第12回大会. (1991)
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[Publications] 浅川 潔所,夏野 良司,古川 雅文: "海外帰国子女の小学校適応に関する研究(1)ー心理的距離地図による分析ー" 中国四国心理学会 論文集. 25. (1992)
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[Publications] 浅川 潔司,夏野 良司,古川 雅文,和気 清: "海外帰国子女の対人関係ネットワ-クの形成" 兵庫教育大学研究紀要. 13. (1993)