1991 Fiscal Year Annual Research Report
触覚的パタ-ン認織のための,知覚的表象に関するモダリティ-間の比較研究
Project/Area Number |
03610063
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
和氣 洋美 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (80122951)
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Keywords | 触覚的パタ-ン認識 / 視覚的パタ-ン認識 / 知覚的表象 / 視覚障害 |
Research Abstract |
開眼手術により13才で微弱ながら視覚を回復したK君に対し、ハサミ・コップなど35種の実物と、その2次元投影図形を提示し、視覚・触覚の両面から認識過程を分析した。実験は図型ー触、図形ー視、実物ー触、実物ー視、再び図型ー視、図型ー触の順で行われ、反応は全てテ-プに記録され、後に解析された。予想通り、視触ともに実物認識の正答率は80%以上で両成績に大差なく、図形認識より容易であった。図形に関しては触覚では正答率35.7%、視覚では17.1%と、触覚による方が顕著に成績が良かった。彼にとっては図形の輪郭を視覚的に辿ること自体がかなり困難で、ようやく図形の各部分の形状を記述するにとどまり、形全体がイメ-ジしがたいためである。後に図形についてだけ、同様の実験を晴眼者にも行ったが、晴眼者はこれらを瞬時にして視覚的に認識することが可能である。両者では情報の入力部分ですでに大差がある。晴眼者は触覚による図形識織に22.9%の正答率を示し、K君と大差なかった。触認識の直後に目隠しを取り、紙面に図形を描画させたところ、正答率は31.4%であった。触覚時の記隠を紙面に表現するとき、うまく特徴が表現されれば描画の結果から特定の物と同程できるようである。K君の場合、触覚により図形認識では、植木鉢、ロ-ト、花瓶、電池、急須、ビン、などは全てコップと認識された。さらに、実物を斜め上方から見た状態で2次元に投影したので、コップの様な筒型の事物の上部は楕円に表現されている。これが、K君には「コップにボ-ルがのっている」、「蓋のついたコップ」などと感じられる。如何なる投影の仕方が妥当なのか問われる。これらの結果を受けて、次には各図形のどの部分が認識に不可欠な情報となるのかを解析する必要があると判断した。そのため、各図形の全情報量を100%としたときの任意の欠損図形の情報量を算出するプログラムを開発するのに予想外の時間を要した。現在実験の途上である。
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