1991 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児期の母子遊び開始手段としての母親の冗談行為の成否を規定する要因の縦断的研究母子間の情動伝達のスム-ズさと働きかけの許容範囲の主観的評価の後続的影響を中心に
Project/Area Number |
03610067
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Research Institution | Fuji Women’s Junior College |
Principal Investigator |
中野 茂 藤女子短期大学, 保育科, 助教授 (90183516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金谷 有子 國學院短期大学, 幼児教育科, 助教授 (00177502)
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Keywords | からかい / プレイサイン / 意図 / 幼児 / 母子 / 遊び / メタコミュニケ-ション / 遊びの枠組み |
Research Abstract |
本研究では、(1)母親の「遊戯意図」に根ざした「からかい」(MTB)が、どのようにして子どもに伝わるのか;(2)そこにどのような発達的変化があるのかを調べてみた。とりわけ、母親の“遊戯意図"を示す「サイン」に注目することで、MTBが“虚偽の行為"であることを了解し合う過程を検討した。 対象児は、住民票から抽出した1、2歳児100余名のうち、応諾を得た1歳児15名、2歳児12名だった。 これらの対象の家庭に訪問して、ドラキュラ人形、成人男性のお面、怪獣などのユ-モラスだが恐さを含んでいる玩具で約10分間、母子遊びをしてもらった。 分析の際にはMTBと同時あるいは直後に表わされた大げさな発話、笑いなどの表出を(プレイ)サインと定義した。結果から、1,2歳児ともに、全MTBのうち、子どもの快反応を引き出し、その「遊戯意図」が伝達したと考えられるのは、2割程度に過ぎなかった。約半数近くは、無反応ないし不安反応で、この年齢では、母親の「遊戯意図」の受容が困難なことが示唆された。だが、2歳児では1歳児よりもアンビバレントな反応が多く、過渡期の状態にあるのではないかと考えられる。また、いったんサインが伝わるとそれ以降のMTBの成功率は高まる傾向にあり、一旦、「遊びの枠組み」が成立すると共有される傾向にあった。 一方、MTB使用頻度の個人差も大きく、なんとか子どもの快反応を引き出そうとMTBを多用し、結果的には失敗を招く場合が多かった。また、子どもも快反応が多い事例と、無反応が多い事例とが認められた。さらに、成功事例ではMTBと同時に素早く多数のサインを送っていることが多く、そのタイミングが意味を持つことが示唆された。今後さらに、MTBがどのように快・不快誘発に分岐するかについて発達的検討を進めてゆく。
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Research Products
(1 results)