1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03610082
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Research Institution | Hiroshima Prefectural University |
Principal Investigator |
徳野 貞雄 広島県立大学, 経営学部, 助教授 (40197877)
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Keywords | 高齢化 / 少子化 / 年齢別人口構成 / 後継者 / 定住対策 / 集落点検 |
Research Abstract |
本研究は、日本の特殊合計出生率が1.53人という「超出生率低下」によってひきおこされている日本各地の地域社会構造の変動を、従来の高齢化社会論とは別の角度から、少子化と地域社会構造の相互連関を軸とした「少子化社会論」を模索していく試験的研究である。本研究は、その初年度でもあることから、地域社会分析における高齢化論的アプロ-チと少子化論的アプロ-チの差異を確立していく作業をおこなった。山口県下の農山漁村を中心に数ケ所の集落の家族構成や就業構造,他出者状況等の集落点検を試みた。 その成果としては、同じように過疎化率高齢化率の高い集落でも、30才代の絶対数が確保されている集落とそうでない集落では、現状および将来の安定度が極めて異なることが明らかになった。前者が安定している。すなわち、30代は世帯生活者として、高齢者を支えるとともに、地域メンバ-の再生産(子供)をおこなうからである。第二に、総数としては少ないが、一夫婦当りの子供の出生数は過疎地の農山漁村で多く、多子(4〜5人)世帯もかなりの頻度でみられる。単に、伝統的な多子意識とは異なるメカニズムが、農山漁村で作動していると思われる。第三に、20代の流出が顕著でも、流出者の1/4が30代で帰村している場合、集落の安定度は高くなる。 以上のような知見から、従来の20才代を軸として若者定住対策に対して、30才代の生活者定住対策を提案していくことも重要な課題となってきた。また、本調査研究を遂行していく過程で、山口県下のかなりの集落で、「集落点検」という事業が普及し始めている。「集落点検」とは自分達の集落の現状および10年後がどおなっているのかを、住民自からが点検していく作業であり、今後の地域対策にとって極めて有効な手法と考えられる。
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