1992 Fiscal Year Annual Research Report
健康日記調査法による病い行動と社会的ネットワークに関する研究
Project/Area Number |
03610084
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Research Institution | INTERNATIONAL BUDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田邉 信太郎 国際武道大学, 体育学部, 助教授 (40188363)
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Keywords | 健康日記 / 病い行動 / 社会的ネットワーク / ライフスタイル / 民間療法 |
Research Abstract |
本研究の主たる目的は、従来の健康日記研究、病い行動研究では十分な解明のなされていない子どもと民間療法利用者について、彼らの健康問題と病い行動の実態を明らかにすることである。 本年度は、前年度の文献研究、予備調査、本調査の実施を受けて、本調査の継続とデータの分析を行った。 対象は小学校の子ども(都市部と山間部の各1校)と、都市部にある一民間療法施設の患者(成人)であった。調査は平成3年12月から、平成4年度の研究期間内で可能なかぎり継続することとした。しかしこの間に、子どもの卒業や担任の交替により、一部の調査は平成4年3月で終了した。したがって分析では、第一に平成4年4月から平成5年1月の10ヶ月間のデータを用いることとして、それ以外の期間のデータは参考に用いることとした。 結果の概要を記すと、まず子どもでは、都市部及び山間部とも、毎月1人1件程度の健康に関する問題エピソードを経験していた。また男子より女子の方が、件数の多い傾向が見られた。内容でよく見られたものは風邪や呼吸器の症状、日常的な外傷、運動による筋肉痛や疲労、等であった。大部分のエピソードは短期間で終了した。問題への対応行動では、特別なことをせずに放置・観察する場合が大部分であった。相談相手では母親が最も多かった。全体として子どもでは、季節、学校生活、家庭という環境要因が、健康問題と病い行動に密接な関係をもっていることが推測された。 民間療法利用者では、さまざまな健康問題が見られたが、慢性的な疾患や症状の多い傾向が見られた。利用の契機は利用者間の紹介が多く、インフォーマルなネットワークの存在が測られた。また現代医療で完治せずに通い始めたり、両者に通う場合も少なからず見られた。
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