1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03610105
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
園田 英弘 国際日本文化研究センター, 研究部, 助教授 (50027562)
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Keywords | 士族 / 社会階層 / 社会移動 / 藩政改革 / 廃藩置県 |
Research Abstract |
津軽士族の明治十年代の社会階層・社会移動に関するデ-タ収集のために、弘前市立図書館・青森県立図書館などを訪門し、津軽士族の旧家格デ-タ(江戸時代の身分階層を知るための不可欠なデ-タ)・明治初期の廃藩以前の藩庁役人の役職デ-タ、青森県レベルの県庁役人の役職デ-タなどの収集にあたり、ほぼめざした資料の収集をすることができた。収集したデ-タは、家族を単位とした家族=身分階層=役職デ-タ・ベ-スを作るのに利用されているのが、現在もこのデ-タ・ベ-ス作成の作業を統行中である。以上のような津軽士族の社会階層・社会移動に関する第一次資料の収集と平行して、幕末から廃藩までの津軽藩の藩政改革に関する二次文献の収集と読破に力を注いだ。幕末の軍事改革のために、メリトクラシ-にもとづく藩政改革が進行する一方、それらの改革に対する根強い反揆が津軽藩では見られ、それらのコンフリクトの結果が、明治初期の門問家による主要な藩政のポストの独占的状況を生みだした。このような身分制的な最後の抵抗の後に、一挙に廃藩によって身分制を支えてきた土台が崩壊し、大きな混乱状態に陥ったのが津軽藩の特色であるという見通しをもつことができた。漸進的なメリトリラティックな改革が進行していた藩では、明治四年の廃藩のときにはすでに「能力」にもとづく官職の分配は終了していたのだが、津軽藩の場合は、その前期に急激な改革に遭遇し、官職を保有する階層の変化がみられたのではなかろうか。以上のような仮設は、現在入力中の家族=身分=役職デ-タベ-スができあがりしだい、明確な根拠のもとに結論を出すことができるであろう。また、明治十年代の津軽士族の学歴・職業デ-タを今年序中にうまく収集できれば、官職のみならず、さらに多様な職業・社会階層に津軽士族が分散していったかということについて、実証的に新かにすることができるであろう。
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